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既に胴体は奇妙な形に折れ曲がり、その上を細い光が僅かに走る。 石の巨人が再び動くということは有り得ない状態だった。 「私は少々気になる所があるので、後は任せます」 そう言ってグリフォンの冥闘士は、さっさとこの場を離れてしまった。 残されたゴードンは、とにかく自分の冥衣と因縁のある迷宮の番人に近づいてみる。 「……」 石像には、先程まであった巨人の気配も動き出そうとする力も感じられない。 しかし、時々呪術の光が石像の目に入り込む様子は、まだ石像に力が残っているかのような印象を与えた。 「迷宮の番人タロス。 俺の名はゴードン。冥闘士だ。 今度は俺がミノタウロスと共にいよう」 何故、そのような発言をしたのかゴードン自身にも分からない。 しかし、その直後に振るった最強の斧『グランドアスククラッシャー』によって、迷宮の番人は砂になって大地に還った。 まるで石造自身も自分の役目は終わったと言いたげな鮮やかな幕切れ。 (ミノタウロスが示すものを託されたと言うことか……) しかし、それが名前なのか力なのかは、まだ彼にも分からない。 (さて、あの方を追わなくては……) 一撃で巨人を倒したグリフォンの冥闘士。 ゴードンはミーノスの去っていった方角を見る。 何か嫌な予感がした。 |
鋭い刃物のような風が建物の壁や床を砕く。 |