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続・庇護 4

イオはボロボロになって気を失っているアイザックをカーサに渡す。
その様子を見ていた氷河は、少し不安げな表情をした。
「クラーケンなら大丈夫だ。
それよりお前も手当てをした方がいいぞ」
イオにそう言われたが、彼は首を横に振った。
「俺は大丈夫だ」
そしてカーサは幾つかの伝言をイオに伝えると、アイザックを担いで海へと戻って行った。
「あんたは戻らないのか?」
氷河の問いにイオは周囲を見回した。
「こっちはこの場所に用事が有る」
「どう言うことだ?
再び巨人族が出現するというのか」
その時、二人の周囲に幾つもの黒い影が現れる。
バジリクスの冥闘士たちの登場に、氷河は目を見張る。
しかし、イオは
「あれか……」
と呟いた。

少し前のこと、海底神殿にいたカーサは海皇ポセイドンから、
『島に行き今回の事態の原因を究明せよ 。
もし冥王とアテナの闘士たちに会ったら、恩を売っておけ』
という、何の心境の変化なのか分からない命令を受けた。
とにかく彼らの方でも海を荒らす異常事態は、海側からでは手が出せないらしいという結論が出ていた。
何しろ原因となるものが海の方には無いのである。
光の柱が次々と消える毎に海流を乱す現象が鎮静化しているのだから、島の方にこそ海に対して影響を与えるモノが有るに違いないと考えるのは仕方ない事だった。
この海皇直々の上陸許可がカーサから伝えられると、海将軍たちは一斉に動き出していたのである。

そしてイオは自分の出現理由をどう説明しようか考えていた。
しかしアテナの聖闘士たちとは面識があったが、冥闘士たちとは初見なのだ。
とにかくこんな面倒な場所で力業を兼ねた自己紹介などしたくはない。
だが、それは杞憂で済んだ。
実はシルフィード達の方でも、ミーノスから直々に
『目的の場所に海将軍が居ても気にしないように』
と、言われていたからである。

そして島に出現している光の柱は残り一本。
しかし彼らは、それが消えても、まだ全てが終わるとは思えなかった。