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冥界に突如出現した4本の柱。 そのうちの一本が、巨人族の落下と共に力の放出を停止。 しかし、柱は依然存在し、微量ながらも光が下に向かって走っていた。 「そうか……」 部下の報告にアイアコスはタルタロスに繋がる門を見た。 門は何の変化も見せず沈黙を守っている。 (何かを待っているのか?) とにかく自分が此処から離れるわけにはいかない。 かといって、呪術で作られたであろう柱を放置することも出来ない。 (やはりデスクィーン島に冥闘士を何人か派遣した方がいいな) 多分、聖闘士か海闘士の誰かが島側の柱を破壊したのであろうが、完全破壊までには至らなかったのであろう。 何しろ呪術は素人の手に負えるものではない。 もしミーノスやゴードンが破壊したとしても、それはそれで他の柱もやらせるのは時間がかかる。 巨人族は一人ではないのだ。 「……」 数秒ほど考えた後、アイアコスは自分の部下を数名、デスクィーン島に派遣する事にした。 「それからバレンタインとルネに言って、ラダマンティスとミーノスの所の奴らを何人か借りろ」 その命令に彼の部下は一瞬戸惑った表情をした。 上司の命令ならば遂行するが、他の三巨頭の部下に同行を依頼するのは滅多にない事態。 向こうが嫌がる事も考えられる。 しかし、アイアコスは大丈夫だと笑った。 「どっちかというと奴らは関所の通行書みたいなものだ。 自分の部下が一緒なら、ラダマンティスもミーノスも煩い事は言わない」 お前たちは島に急げと言われ、冥闘士は上司に一礼すると素早くハーデス城へと戻った。 「ギガース共。 退くのなら今のうちだぞ」 アイアコスの言葉に、門の奥底から獣のような重い咆哮が聞こえてきた。 |
闇に吸い込まれて行く巨人ヒッポリュトス。 冥王ハーデスは消えゆく敵の影を見送ると、今度はミーノスの方へ近づく。 二人の冥闘士は片膝を付いて頭を下げた。 『ミーノス。この島には太古の影共が蠢いているな』 不愉快そうな言い方にミーノスは緊張した。 この島の現象については、冥界側の管理が疎かになっていると言われても仕方がない。 しかし、冥府の王の次の言葉は短かった。 『片付けておけ』 それだけだった。 二人の冥闘士は次の瞬間、突風のようなモノを身体に受けて後ずさりする。 冥界の王がアンドロメダの聖闘士の身体から消えたのである。 ただ、瞬の方はと言うとハーデス離脱の反動をモロに食らって、その場に倒れてしまった。 威圧的な雰囲気が消え、周囲には闇を照らす呪術の光。 ミーノスは瞬の方を見た後、辺りを見回す。 (さて、どう片付けたものか……) 結局、この島の様子を詳しく調べていなかったので、島に漂う冥界の気配は原因不明のままなのだ。 (柱は完全に消えたはずなのに、何故この場に力が満ちている?) 柱さえ消えれば結界は消滅するという当てが外れた今、今度は何が結界を維持しているのかを再び探さなくてはならない。 しかし、今度は何の手がかりも無かった。 |