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続々・花籠 4

弟に連れられて人気の無い聖域の町中に入る。
その場所から更に外れた場所に、引退した巫女である老婦人が一人で暮らしているという。
星華は当初、そんなにも重要な役職だった人の所へ自分が行って良いのかと迷った。
しかし、聖域が緊張状態なので何処かに避難しなくてはならないのも事実。
彼女はとにかく星矢の迷惑にならないよう大人しくしようと心に決めた。

「大丈夫だよ。姉さん」
だが、肝心の星矢は修行地が聖域だというのに、その女性について何も知らないという。
別の意味で彼女は弟の行く末が気になった。
そして当の女性はと言うと、初めて会った青銅聖闘士の依頼を快く引き受けてくれたのである。
星華も直感的に、彼女なら大丈夫かもと感じた。
その様子に星矢は安心したのか、二人に手を振って十二宮の方へ戻ったのだった。

星華は居間に案内される。
老婦人は星華の為に簡単な食事を用意してくれた。
「ありがとうございます」
緊急時ゆえに火を使うことが出来ないと言われたが、差し出された食べ物は美味しかった。
老婦人は向かいの椅子に座ると、縫い物を始めた。
大事なモノを入れるので、籠の中に敷く布に綿を詰めているという。
その可愛らしい布地に星華の心は和む。家の中は静かだったが、居心地は悪くない。
と、其処へ家のドアをノックする者がいた。

老婦人は星華に座っているよう言うと、厳しい表情でドアの方へ向かう。
しかし、やって来たのは老婦人の知り合いらしく、彼女は少しだけ緊張から開放された。

猟犬星座の白銀聖闘士アステリオンは大きく深呼吸する。
目の前には問題の家。
どういう理由なのか、聖域で修行していたカペラやシリウスはこの家には極力近づきたくなさそうな素振りを見せる。
(あの婦人を避難させるのに、何を嫌がっているんだ?)
ドアをノックすると、問題の女性が出てきた。
アステリオンは老婦人に、町の人がいる避難所に行くよう言う。
だが、彼女は何処に居ても危険度は変わらないと言って首を横に振る。
「しかし……」
アステリオンは言葉を続けようとした瞬間、家の近くで光が発生した。
「家の中にいろ!」
彼は急いでドアを閉めると、光の発生した場所に駆けつける。
彼がその場所で見たのは大地の上に発生した光の模様だった。
そしてこの様な謎の現象は、聖域の複数の場所で発生していた。

「光の模様だって?」
雑兵からの報告にオルフェはダイダロスの方を向いた。
「空からではないということか?」
親友の言葉を聞きながら、ダイダロスは自分が今まで書き込んだ地図を見る。
「向こうは大地の女神たちに影響を与える事を覚悟しているのか?
それとも何か別の勢力が動いているのか……」
こうなると目的が何であるのかすら分からなくなってくる。
だが、天界の闘士の侵入は防がなくてはならない。

「僕も様子を見てくる」
オルフェはそう言ってダイダロスの返事も聞かずに部屋を出た。
「それではオレも……」
子獅子座の青銅聖闘士も立ち上がったが、こちらは引き止められた。