鋭利な刃物の攻撃を受けたかのような黒き第一の宮。
その崩壊のレベルは凄まじく、宮の内部はほとんど呪術の紋様が機能してはいなかった。
だが、所々でエネルギーの流れがあるらしく、それがゆがんだ形で紋様を浮き上がらせている。
春麗は紋様を踏まないよう、魔鈴の教える通りに動いていた。
聖闘士であるシオンと魔鈴なら駆け抜けることが出来る場所。
しかし、一般人でしかも呪術媒体の箱を抱えている春麗としては慎重に動かなくてはならない。
うっかり箱を落としでもしたら大変だからである。
シオンはそんな彼女の姿を見て、絶対に旧友を殴ると決意を固めていた。
(こんな危険な事に関わらせるつもりで、春麗を拾ったわけではない)
当時、童虎に託したのは失敗かもと思ってはいたが、本当に役に立たなかったと知らされるとは思わなかった。
彼は正直言って殴るだけではなく、必殺技も使ってしまいそうな予感がした。
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