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続・花籠 4

目の前で凍らされた柱は、氷河の目の前で光が大蛇のようにうねり始める。
そしてヒビの所から光が漏れたかと思うと、それは物凄い勢いで飛び出し近く大岩を打ち砕いた。
その後には熱に溶かされた大地の傷跡が残る。
素晴らしい力だと言って、 敵の闘士は子供のように笑った。

柱の内部では、封じられた力が出口を求めて濁流の如く大地の奥底へと向かう。
地上へと向かっていた巨人族が二人、いきなり出現した光の道を駆け上がり始めた。
一番先に地上へ出て他の兄弟たちよりも優位に立とうと、彼らは考えている。
兄弟といえども彼らにとって仲間は、支配するかされるかの関係でしかないからだ。

沙織は春麗たちを見送った後、再び黒き十二宮とその奥にある神殿の方を向く。
その時、彼女の持っていた白い杖が自発的に震え始めた。
「!」
両手で杖を持っても動きを止めることは出来ない。
(何が起こっていると言うの?)
そして白い杖は柔らかな光を放ち始めた。


氷河は再び柱を凍らせようとしたが、敵が先回りをしてその行動を阻止する。
(柱に近づけない……)
そのうち彼は柱から漏れた光を避けた動きを予測されて、敵の一撃を食らってしまう。
しかし、氷河は何とか持ち堪えた。

相手は面白くないといった表情で、氷河を見る。
その時、彼は何かに気がついたのか動きが止まった。
だが、直ぐに氷河の方を見据える。
そしてこの時初めて相手は名乗りを上げたのだった。
『我はトロイアのキュクノス。不死身と謳われた男だ』
そしてトロイアの闘士が氷河に拳を向けようとした時、何者かの声が二人の耳に届いた。


『不死身ナレバ、我レノ受ケ皿ニ……ナレ』


沙織は白い杖の動く意味に気がついて、今度は杖を離す。
それは自立し、くるくると回る。
「これは!」
アルデバランが沙織を守ろうと動いたが、彼女はそれを止めた。
「強力な援軍です」
沙織がそういった瞬間、白い杖は三つの光となり、そして一方向へと飛び去ったのだった。