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何故、この存在を憎み、執着するのだろうか? |
体中に張り巡らされた光の紋様はペイリトオスを守り、カノンの技をほぼ無効にしていた。 既に彼らの戦っている場所は島の大地なのか、何か別なモノなのか判らなくなっている。 そしてカノンは急に周囲の空気が重くなったことに気付く。 (早めに決着をつけなくては!) 足元から感じる巨大な生き物の気配。 それと似たような物は少し前に海底神殿にて体験をしている。 (巨人族か!) そうなると、ここでギャラクシアンエクスプロージョン等を使うことは出来ない。 空間の不安定な島が連鎖的に崩壊しては、自分が此処に来た意味が無くなるからだ。 「……」 カノンはペイリトオスの身体に埋め込まれている小さな石を掴もうとした。 |
この者が生まれながらの英雄である事を知っているからなのか? |
呪術で作られたモノに近づくのは、海将軍とは言え生身の人間が無事で済む筈が無い。 |
動かなくなった少女を抱きしめて呆然としている青年。 |
だが、その青年を自分は知っているような気がした。 |