風が闇の十二宮を通り抜けるたびに、人とも獣とも判別しにくい声が部屋に響く。
「どうした。遠縁の王子を助けに行かないのか?」
ポリュデウケースは挑戦的な眼差しでアフロディーテを見る。
すると彼は先程の厳しい眼差しを急に和らげた。
「……いい加減。ここら辺で決着をつけないか?」
その言葉に、今度は不死の神の方が驚く。
「何っ?」
「お互いに手持ちのカードは殆ど出した。
ここで決着を付けないと、この先お互いに潰し合いになるのは分かりきっている。
それは幾らなんでも不毛だ」
だが、ポリュデウケースは怒りに満ちた表情になる。
「……貴様に未来を与えると思っているのか」
だが、アフロディーテは動じない。
むしろ美しい笑みすら見せながら、それにそぐわない台詞を言う。
「それはお互いさまだ」
デスマスクはこの様子に、
(面倒な事に関わった)
と、己の不運を呪いそうになっていた。
|