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アイザックは何事も無かったかのように、瞬に近付く。 「アンドロメダ。感動の再会を邪魔して悪いが、こっちも急いでいる」 イオと同じような鎧をまとっている少年の登場で、ダイダロスはある結論に達した。 「瞬、もしや彼らは海闘士なのか?」 だが、ダイダロスの表情からは緊張は感じられない。 あくまで穏やかな口調だった。 「はい。彼は海闘士たちを束ねる海将軍の一人で、クラーケンのアイザックです。 そしてさっき話をしていたのが、同じように海将軍でスキュラのイオ。 それでフルートを……」 そう言いかけた時、アイザックに手で口を塞がれた。 「あの二人はここの客人だ。 それから我々と聖域は休戦状態だ。 一応許可を得て、ここに居させてもらっている」 アイザックの落ち着いた説明に二人の白銀聖闘士は納得するしかない。 今まで、少なくともイオは攻撃の意志を示さなかったし、瞬も友人に話しかけるかのように彼らと接しているからである。 「瞬、彼らの言う事を信じて良いのだな」 「はい。今の彼らは敵ではありません」 瞬は、ダイダロスが自分の言う事を信じてくれた事が嬉しかった。 そして彼はようやく当初の目的を思い出す。 「アイザック。彼が琴座の白銀聖闘士のオルフェだよ」 いきなり紹介されてオルフェは何事かと思った。 海将軍と話をする理由など無いのだから。 アイザックはオルフェの方を向く。 「俺は女神エリスからの伝言を届けに来ただけだ。 『お前の恋人が五老峰の知り合いに何かを預けた。それを受け取りに行け』 以上だ」 そう言ってクールな海将軍は踵を返すと、三人から離れて十二宮の方向へと去っていってしまった。 (恋人……。ユリティースが何故?) 冥界で別れた恋人が誰に何を預けたというのだろうか。 正直言って信じられない伝言だった。 だが、信じる信じないを別として、彼は言葉の意味を確かめたいと考える。 彼は弦の切れた竪琴を見つめた。 「オルフェ、どうするんだ?」 ダイダロスが心配そうに尋ねる。 「確かめてみる。海将軍が嘘を言うとは思えないし、その伝言の意味を知りたい」 もしかすると行ったところで何も見つからないかもしれないが、それでも何もせずにいるよりはずっと良かった。 でなければ、彼は喪失感で気がおかしくなりそうだったからだ。 「だが、僕は五老峰と言う場所を知らない。 ダイダロスは知っているか?」 一番の問題はそれ。いくら優秀な聖闘士でも行った所の無い場所へ向かうには、時間の浪費を覚悟しなければならない。 「紫龍なら、五老峰が修行地だから協力して貰えると思う」 体力的に不安が残るが、彼ほどうってつけの人材はいないと瞬は考える。 「五老峰は確か、天秤座の黄金聖闘士がいる場所じゃないのか?」 ダイダロスの説明に瞬は驚く。 「先生、ご存じなのですか?」 「実際に行った事は無いが、知識として色々とな」 そう言ったダイダロスは、どこか寂しそうな表情をした。 「ところで、瞬はいつの間にオルフェと知り合っていたんだ?」 ダイダロスの疑問に、瞬はオルフェの方を見た。 |