INDEX

再会 5

雑兵から竪琴の音色が聞こえた方向を教わり、瞬とアイザックはその方角に向かって歩いていた。
白銀聖闘士たちの復活で聖域の町はやや混乱状態ではあるが、魔鈴や邪武たちが指揮をとっていたので、神官や女官達は落ち着いて指示に従っている。
ただ、魔鈴から気になる話を聞いた。
シャイナとジュネの姿が見えないというのだ。
(ジュネさん……、アンドロメダ島へ戻ったのかな?
もう少し待っていてくれたら逢えたのに)
そう考えると、逆に彼女に会いたい気持ちが募る。
その時、瞬の耳にフルートの音色が飛び込んできた。
「目的の人物は琴座だが……」
何か間違えているのではと、アイザックは考えてしまう。
「誰だろう??」
瞬も首を傾げた。
フルートと聞くと海将軍のセイレーンを思い出すが、彼がオルフェと一緒にいるとは考えにくい。
二人は急ぐ為に、駆け足になった。

ソレントの演奏に、オルフェとダイダロスは茫然としている。
「彼は何者なんだ……」
オルフェはダイダロスに問う。
だが、彼も偶然出会った聖域の客人だとしか考えていない。
「判らない……。 だが、この曲はお前がよくユリティースに聞かせていたモノだろう」
二人の聖闘士の反応をジュリアンは楽しそうに見ており、イオは背筋に冷たいものを感じた。
(セイレーンのヤツ。何かヤバイ選曲したんじゃないのか……)
その時、彼らの背後で人の声が聞こえ、演奏は一時中断された。
「ダイダロス先生!」
瞬が自分の師匠の姿を見つけて駆け寄ってきたのである。
「瞬!」
ダイダロスは突然現れた弟子の姿に茫然とした。
瞬はそのままダイダロスに抱きつく。
「アンドロメダ!」
イオは過去に対決した事のある少年の登場に、どう反応して良いのか判らない。
少し離れたところには、アイザックがいた。
イオとソレントは慌ててジュリアンの方を見る。
「ジュリアン様、宿屋へ戻りましょう! 女将も心配していると思います」
ソレントはフルートを素早くケースに仕舞うと、ジュリアンの腕を掴んで、そのまま走り去った。
「あっ、待ってくれ!」
オルフェがソレントを引き止めようとした時、イオが彼の前に立つ。
「すまないが、話は後にしてくれ! 後で彼と話が出来るように説得する」
ジュリアンにソレントの正体を知られる訳にはいかないので、イオは必死である。
「イオ……、何でここにいるの??」
瞬はようやくイオの存在に気がつく。
「アンドロメダ!ジュリアン様は何も知らないんだ。 後は頼む!」
彼はそう言って、そのままジュリアンの後を追った。
「後は頼むって、僕だって何が何だか判らないよ」
確かにその通りである。