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再会 1

最後にカノンが異空間から脱出した直後、黒い鏡の様になっていた十二宮前の広場は、元の姿に戻った。
沙織とパンドラは気を失っている。
そしてエリスは苦しそうに、アイザックにしがみついていた。
「どうしたんだ」
エリスの苦しそうな表情に、彼は不安になる。
「しまった!
どうやら時間がない。お前に頼みがある」
エリスはそう呟くと、アイザックの耳元で何かを囁く。
その時、十二宮前に彼らがやってきたのだった。
「沙織さん!」
体中が痛むというのに、星矢たち五人は広間へやってきたのである。
本来なら紫龍・氷河・一輝の三人は他に最優先事項があったのだが、黄金聖闘士たちの事を聞き、復活した教皇に指示を仰げとアルデバランに説得されたのである。
そして彼らの登場は、嫌なくらいタイミングが良かった。
一輝はラダマンティスが抱き抱えているのが、パンドラであることに気がつく。
だが、気がついただけで、すぐに視線を逸らせた。ラダマンティスもまた、一輝を一瞥しただけだった。
しかし、氷河とアイザックの場合は、そうはいかなかった。

「アイザック……。絵梨衣……?」
彼は親友とその腕に抱かれている自分の恋人に、一瞬凍りつく。
「氷河!」
アイザックは当然、氷河と自分が抱き抱えている少女の関係は知らない。
エリスは氷河の方を見る。
「キグナス、良い所へ来た」
その声に五人は叫ぶ。
「エリス!!」
この展開に、周りの闘士達の方が驚いた。
だが、カノンとムウは亡霊聖闘士たちから大まかな話を聞いているので、素早くエリスを守る。
氷河はカノンに取り押さえられた。
「カノン!離せ!」
「落ち着け! アルデバランから聞いていないのか!」
「エリスが協力者なのは聞いているけど、絵梨衣さんの身体なんて聞いてない!」
瞬の言葉にムウは、しまった!と思った。 確かに、アルデバランにその事は言っていない。
彼はエリスとジュリアンがやってきた場面を見ていないのである。
「シードラゴン。キグナスと話をさせてくれ」
エリスの言葉に、カノンは氷河を押さえつけている腕を離した。
氷河は睨み付けるようにエリスの見ている。
「キグナス。お前の力で、この娘を凍らせろ」
その言葉に氷河はエリスに掴みかかろうとして、再びカノンに動きを封じられた。
「ふざけるな。さっさと絵梨衣の身体から離れろ!」
氷河の言葉はエリスに対して言っているのは判るのだが、アイザックは何故か自分が攻撃されている気がした。