INDEX

神代の夢 1

人に恐怖と混乱を与える闇もあれば、優しい眠りを与える闇もある。
ここ五老峰では、静かな時間が流れていた。
だが、散歩から戻って再び眠りについた春麗は、しばらくして自然に目が覚めてしまった。
(……)
明日になればエウリュディケーが来るのだから、是非とも一緒に食事をしてもらいたい。
その為には早起きして食事の準備をしたいから、今はちゃんと眠っておきたいのだが、どうしても眠れない。
何か不吉な予感めいたものが自分の心に沸き上がって、目が冴えてしまったのである。
(まさか、紫龍や老師に何かあったんじゃ……)
心が痛みを訴え、春麗は涙が零れそうになる。
その時、何か砂のようなモノがぶつかり合う音が聞こえてきた。
彼女は再び起き上がる。 隣を見てみると、貴鬼は熟睡していた。
起きる気配はない。
(起こしちゃ可哀相ね)
彼女は再び上着を羽織ると静かに部屋を出る。
音は自分の部屋から聞こえていた。
(もしかして精霊さんが起きたのかしら?)
春麗が部屋を覗いてみると、いきなり七色の光が濁流の如く部屋から溢れだしたのである。