『……ハーデス様は女神アテナに倒されたのか……』 その声にハーデスと瞬は驚く。
『姉上!』 ハーデスは直ぐに声を上げたが、瞬は驚きのあまり声が出せなかった。 女性の声は続いた。 『そうだ。だがお前には泣いている暇はない。
今や冥王の大切な冥闘士たちが復活出来るかどうかの瀬戸際だ。是非お前に協力してもらうぞ』 (この声は……) 瞬は思い出そうとするのだが、何故か霧が深まったかの様に声の印象が曖昧になる。
『既にアテナの黄金聖闘士、海皇の七将軍、冥王の三巨頭が全滅している』 再び聞こえてきた女性の声に、ハーデスが叫んだ。
『姉上は天上界へ戻られていない! 女神ヘカテの試練に呼ばれたのだ。 あやつ……本当に自分の望みの為に動いたな』 そして、ハーデスはいきなりエリュシオンから姿を消した。そのいきなりの行動に、瞬は理由を聞く暇が無かった。
いつの間にか風が止んで、女性たちの声が聞こえなくなる。 瞬は沈黙の世界に一人、残された。 |