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眠りゆく王 1

自分が目を開けていることすら疑わしい程の深い闇。
瞬は崩壊する冥界にいた筈なのに、頭上に光を見た直後、真っ暗な空間にいた。
どれくらいその場所にいたのかも判らないくらい、彼はその場から動けずにいた。
(兄さんや皆は無事かなぁ……)
自分達が守り通した女神の事も心配だが、何故か彼女は大丈夫なような気がした。
だが、その止まってしまったかの様な時間は、驚くべき存在の声によって動き始める。

『そこにいるのは、誰だ』
闇の中に響いた声を聞いた時、瞬は咄嗟にチェーンを握りしめる。
(冥王ハーデス!)
しかし、肝心のハーデスが何処にいるのか判らない。
瞬は全神経を集中させて、これから来るであろうハーデスの攻撃に備えたが、闇は動く気配を見せなかった。
(?)
『アンドロメダか……』
ハーデスの口調からは、戦闘中の様なギスギスした雰囲気は感じられない。
逆に瞬の方が焦ってしまった。
(何??)
瞬が辺りを見回すと、一ヶ所だけ小さな光が点滅している場所があった。
彼はゆっくりとその光の元へ歩きはじめた。
これは何かの囮で、この闇の中に何らかの罠が仕掛けられていると考えたからである。
しかし、それらしい罠に掛かる事無く瞬は光の前に立った。
『その光を掴め』
逆らった所で状況が好転するはずが無いと思ったので、瞬は言われた通りに光を両手で掴んだ。