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続・目覚め 1

氷河は氷の大地に立っていた。
修行地のシペリアにようにも見えるが、どこか違う気がする。
そして誰かが自分の名前を呼んでいた。
(この声は……)
優しい女性の声が彼の耳に届く。
「マーマ!」 彼は慌てて周囲を見回す。
『氷河……』
彼から少し離れたところに、昔に事故で亡くなった母親が現れた。
「マーマ……」
彼女は氷河を叱りつけるかのように、厳しい表情をしていた。
氷河は母親に駆け寄ろうとするが、足が動かない。
『氷河。早く目を覚ますのです』
彼女はその腕に一人の少女を抱いている。
しかし、少女は透き通っており、まるで硝子細工のようだった。
彼はその少女が誰なのか、一目で判った。
「絵梨衣!」
大事な恋人の名を叫ぶ。
『この子の命はもうすぐ尽きようとしています。 私ではどれほど繋ぎ止めていられるか判りません』
母親の言葉に、彼は激しく動揺した。
「マーマ。絵梨衣に何があったんだ」
ところが徐々に彼女と少女の姿が薄くなる。
『氷河……。もう時間が……』
そして彼女は少女を抱いたまま姿を消した。
彼はようやく自由になった足で、母親の居た場所に駆け寄る。
「マーマ。絵梨衣!」


そう叫んだ時、彼は現実世界に帰って来た。
勢いよく上体を起こしたが、それと共に激痛が走り、そのまま自分の身体を自分の両腕で抱える。
(何がどうなっているんだ。 ここは何処なんだ……)
部屋には自分と白鳥座の神聖衣しか居ない。