「パンドラ。エウリュディケーに会いたいのなら、さっさと冥界を安定させて何か祝い事でも作れ。 そうすればヘカテ様が眠りについていても、エウリュディケーはヘカテ様の名代として会いに来れる筈だ」
そう言われて、パンドラはエウリュディケーの顔を覗き込んだ。 「本当か?」 彼女はちょっと困った様子だったが、小さく頷いた。
「そういう事も有り得ると思います」 するとパンドラはしばらく何かを考えた。 「よし、絶対にユリティースが来る必要が出てくる祝い事を企画するぞ!」
何を企画しようと言うのか。 彼女たちは、怖くてパンドラに聞けなかった。 最後に沙織が彼女の前に立った。 「エウリュディケー……」
「女神アテナ。どうかオルフェの罪を許してください……」 彼女はその一言を言うのが精一杯だった。 沙織は首を横に振る。 その仕種を見て、エウリュディケーは許しは得られないのだと判断した。
しかし、それは誤解だった。 沙織は俯いている。 「許すも何も、オルフェがいったいどんな罪を犯したというの?」 それを聞いてパンドラは驚く。
「アテナは、ユリティースの事を知っていたのか?」 「情報としてある程度知っていたんだろう」 エリスはあっさりと答える。 「そうか?」
パンドラは心の何処かで、沙織に自分がエウリュディケーにしてしまったことを知られるのが怖くなっていた。 沙織の方はというと、半泣きの状態でエウリュディケーに抱きついている。
「最後まで貴女を裏切らなかったんですもの。そこまでの愛情を見せられたら、悔しいけど祝福しちゃうわ。 ありがとう……。オルフェの恋人になってくれて……。
聖闘士とずっと一緒にいることを選んでくれて、本当にありがとう」 「女神アテナ……」 二人は抱き合ったまま、しばらく泣いていた。 |