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目覚め 6

試練の終了を告げられた時、沙織とパンドラは緊張から解放された為か、その場に座り込んでしまった。
「本当にこれで終わったのか?」
パンドラは確認するかのように、エウリュディケーに尋ねる。
「終わりました。 今、地上では闘士の方々が復活されています。
冥界と海界も既に、その権利がほぼ皆様のもとに戻りました」
彼女はパンドラに対して失礼のないように、床に膝をついた。
沙織がエウリュディケーの服の裾を掴む。
「何でいつまでも懲罰の鎧をつけているの?」
「この鎧はヘカテ様が外されます。 私では外す事が出来ません」
当たり前すぎる回答だった。
「二人ともいつまで座り込んでいるんだ。 早く地上に戻るぞ」
エリスは二人の腕を掴んで、立たせる。
「それでは、皆様。地上へはこちらをお通りください」
エウリュディケーは立ち上がると黒い杖を振った。

彼女の案内した部屋には、ゆるやかに上に向かって続いている階段があった。
「こちらから地上に戻れます」
「色々と迷惑をかけたな」
エリスは彼女に向かって微笑む。
今回の一件は、全て自分から始まっている。エリスはエウリュディケーと軽く抱き合った。
「全ての闘士たちが復活できたのは、お前のお陰だ」
そう言われて、審判役の目に涙が光る。
「いいえ、女神エリス。貴女の決断に感謝いたします」
「そんなものではない。私は私の望みを果たす為に、やったことだ」
今度はパンドラがエウリュディケーと抱き合う。
「ユリティース、このまま一緒に地上へ行こう」
パンドラは泣き顔を見られない様に、彼女の肩から顔を離さない。
「お心遣い、感謝します。 ですが私には役目があります」
彼女は泣いている子供をあやすように、彼女の背中を優しく撫でた。
「もう、ここで別れなくてはいけないのか?」
「判りません。 全てはヘカテ様のお心一つです」
するとエリスが返事に困っている彼女の為に、助け船を出した。