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試練終了 1

壁をくぐると、そこには三つの細い道が延びている。
そして背後の穴は塞がれて、もう戻れなくなっていた。
(泉に辿り着くまでは、ここから出られないと言うことね)
ならば前進するのみ。 沙織は直感的に真ん中の道を選んだ。
(あらっ??)
道を進んで行くうちに、足元の感触がどうも変化している気がした。
「これは……砂?」
先程まで岩肌を歩いていたのだが、今は砂場を歩いているた。
そして何処からか波の音も聞こえてきた。
しかし、自分の視野に海も目的地の泉も見えない。砂で表された道が一本、延びているだけである。
(まさか、この道は断崖絶壁に続いているのかしら?)
だからと言って、道がそれしかないのなら進まなくてはならない。
「どんな道だろうが、私は進んで見せるわ!」
誰が聞いているというわけでもないが、決意を固める為に彼女は言葉を口にした。
(!)
すると目の前に、小さな泉が現れた。
暗闇の中で見ている為、泉は光を零しているかのようだった。

「本当に、ユリティースは何もやっていないんだな!」
パンドラがエウリュディケーとエリスの待つ部屋に辿り着いた時、まず確認したのは懲罰の鎧の色だった。
「はい。私は何もしていません。 それは女神エリスもご存じのはずです」
だが、最初の試練終了後よりも鎧は赤みを増しているので、正直言ってエウリュディケーの言葉は信用仕切れない。
彼女は同意を求めるかのように、エリスの方を向いた。
「エウリュディケーの言う通りだ。彼女はずっと私と話をしていたぞ」
そう言われると、エリスが傍にいてエウリュディケーの行動を止めないのも変だと思えたので、彼女は一応納得することにした。
「心配してくださったのですか?」
エウリュディケーは嬉しそうに微笑む。その優しい笑みに、パンドラの胸は痛んだ。
そして、その痛みに苛立ちを感じて、彼女の口調が少々荒くなる。
「当たり前だ!お前を絶対にオルフェに会わせると、言ったはずだぞ」
八つ当たりみたいな会話に、エリスは思わず苦笑した。
そこへ沙織が部屋のドアを開けて入ってきた。