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呼び声 4

沙織はパンドラが穴の中に入った後、床にしゃがんで考えていた。
何故、自分は剣と槍が嫌いなのだろうかと。
(昔は剣くらいは使っていた様に思えたけど……)
ハーデスとの一騎討ちの時には、盾でその太刀を受けている。
最初から嫌いなら、あの時点で自分の負けは確定である。剣の動きを見切れないからだ。
(でも、恐怖は無かった。一騎討ちなら勝機はあるとさえ思えた)
では、何で聖闘士たちには使わせないのか。
使えれば強さは格段に上がる。
しかし、そう思った瞬間、再び頭に痛みが走った。
(駄目……。聖闘士たちに武器は使わせない。 使えば取り返しのつかない事になる……)
でも、何が取り返しがつかないのかが判らない。
自分の中で理性と感情が激しくぶつかり合っていた。
(何かが足りない。どうしても思い出せない記憶があるわ……)
しかし、無理に思い出して再び気絶するわけにはいかない。
沙織は手に持っていた壷を抱える。
その時、また可愛らしい鈴の音が穴から聞こえてきた。
(まずは試練を終わらせる!)
沙織は立ち上がると穴に向かって歩きだした。