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沙織はパンドラが穴の中に入った後、床にしゃがんで考えていた。 何故、自分は剣と槍が嫌いなのだろうかと。 (昔は剣くらいは使っていた様に思えたけど……) ハーデスとの一騎討ちの時には、盾でその太刀を受けている。 最初から嫌いなら、あの時点で自分の負けは確定である。剣の動きを見切れないからだ。 (でも、恐怖は無かった。一騎討ちなら勝機はあるとさえ思えた) では、何で聖闘士たちには使わせないのか。 使えれば強さは格段に上がる。 しかし、そう思った瞬間、再び頭に痛みが走った。 (駄目……。聖闘士たちに武器は使わせない。 使えば取り返しのつかない事になる……) でも、何が取り返しがつかないのかが判らない。 自分の中で理性と感情が激しくぶつかり合っていた。 (何かが足りない。どうしても思い出せない記憶があるわ……) しかし、無理に思い出して再び気絶するわけにはいかない。 沙織は手に持っていた壷を抱える。 その時、また可愛らしい鈴の音が穴から聞こえてきた。 (まずは試練を終わらせる!) 沙織は立ち上がると穴に向かって歩きだした。 |