INDEX

堕ちる光 6

彼は再び一人の黄金聖闘士に呼びかける。
獅子座は既に自分の手に落ちた。もう目覚める事はない。
(今の状態では女神ヘカテによって復活させられてしまう。ならば倒さずに捕らえ眠らせ続ければいい)
彼は自分のいる場所から見える、妖気漂う島の方を向いた。
(デスクィーン島には、あれが眠っている。
今の俺の力ではその眠りを覚ますことは出来ないが、アテナが女神の試練を終わらせれば……)
彼は満足そうに微笑んだ。
(目覚めた『黒の神殿』にて、アテナは永遠に眠り続ける。
黄金聖闘士たちは女神の眠りを守る番人として、共に封じておこう。
もっとも強い輝きを持つ獅子座を手に入れたのだ。 あれはその闇をさらに深めるだろう……)
しかし、彼の心にはある不安があった。 一昨日のデスクィーン島での騒ぎである。
(……あの建物はいったい誰が作り上げたのだ。それに何故テティスが……。
妖気たちの一部も、何処か別の場所に行った様だが……)
予定外を過小評価することは出来なかった。
何故なら星矢たちの前に敗北を喫した原因は、それだったからである。
(邪魔をする者は、全て滅ぼす)
太陽は今まさに沈もうとしていた。