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彼は再び一人の黄金聖闘士に呼びかける。 獅子座は既に自分の手に落ちた。もう目覚める事はない。 (今の状態では女神ヘカテによって復活させられてしまう。ならば倒さずに捕らえ眠らせ続ければいい) 彼は自分のいる場所から見える、妖気漂う島の方を向いた。 (デスクィーン島には、あれが眠っている。 今の俺の力ではその眠りを覚ますことは出来ないが、アテナが女神の試練を終わらせれば……) 彼は満足そうに微笑んだ。 (目覚めた『黒の神殿』にて、アテナは永遠に眠り続ける。 黄金聖闘士たちは女神の眠りを守る番人として、共に封じておこう。 もっとも強い輝きを持つ獅子座を手に入れたのだ。 あれはその闇をさらに深めるだろう……) しかし、彼の心にはある不安があった。 一昨日のデスクィーン島での騒ぎである。 (……あの建物はいったい誰が作り上げたのだ。それに何故テティスが……。 妖気たちの一部も、何処か別の場所に行った様だが……) 予定外を過小評価することは出来なかった。 何故なら星矢たちの前に敗北を喫した原因は、それだったからである。 (邪魔をする者は、全て滅ぼす) 太陽は今まさに沈もうとしていた。 |