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神殿探しはいくら行っても目的の場所を見つけられず、沙織とパンドラの表情に焦りの色が見えはじめる。 「さすがに簡単には見つからないものだな」 エリスはむしろ感心しているような口ぶりであった。 「エリス!」 沙織は彼女の他人事のような発言に、感情を爆発させる。 「貴女は本当に闘士たちを復活させる気があるの?! 何でそんなにも平気でいられるのよ!」 涙が彼女の頬を伝う。不安と焦りが彼女の中で渦巻く。 沙織は絵梨衣の一件もあって、自分の中の嵐を押さえきれなくなったのである。 なのに、エリスは相変わらず落ち着いていた。 パンドラは沙織の様子にビックリして、エリスの方を見る。 しかし、争いの女神は冷やかな眼差しで沙織を見ていた。 「生憎、私に出来る事は、成し遂げる為に精一杯努力することだけだ。 とにかく涙を拭け」 慌ててパンドラが沙織に自分のハンカチを渡す。 「ありがとう。パンドラ……」 「アテナ。勝負はこれからだ。諦めたまま、終わりの時を待つつもりか?」 「それは絶対に嫌!」 パンドラの言葉に沙織は即答する。 その時、彼女の脳裏に少女の声が響く。 『絶対に諦めないわよ。だってみんなが幸せになる為の方法なんだから……』 その優しい声に、沙織は周囲を見回す。 「どうしたのだ?」 パンドラもつられて、神殿の内部を注意深く見る。 エリスは二人を無視して、神殿の外へと歩きだした。 神殿の外は荒れた原野が広がっている。 (ここが最後だったのだが、どうやら失敗したらしいな……) エリスは神殿を見上げた。管理する者の絶えた神殿は、廃墟と対して変わらない荒れ方をしている。 沙織とパンドラが中から出てくる。 ところが二人はある一点を見つめて動かない。 エリスが振り返ってみると、荒野の向こうから一人の人間が神殿に向かって歩いているのが見えた。 マントを深く被っている為、人である事以外の判断がしにくい。 その人物は神殿へ辿り着くと、マントをしたまま沙織たちの前で片膝をついて礼をする。 |
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