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届かぬ想い 3

エリスがハインシュタイン城へやって来た時、沙織とパンドラは闘士たちと共に玄関ホールに居た。
「あまりに遅いから、迎えに来たぞ」
パンドラと三巨頭たちは初めて見るエリスの姿に、言葉を失う。
「エリス……」
沙織やカノンから話は聞いていたが、それでも馴染みのない女神の姿に驚いてしまったのだ。
「その身体で辛くないのか?」
パンドラが不安げに尋ねる。
「元々、一番馴染む身体だ。無理に別人の中へ入っている訳ではないから心配するな」
しかし、その為に依代である絵梨衣の魂が弾き飛ばされている。 沙織は正直言って、今のエリスを見るのは辛かった。
(絵梨衣さんを絶対に助けるわ……)
なのに今の自分にはやるべき事が多すぎる。
彼女の友人であり、星矢の幼馴染みである美穂の顔が、一瞬思い出された。
沙織はこの時、自分の無力さを悔しいと思った。
「さっさと試練を終わらせるぞ。 ヘカテ様の神殿へ伺える期限は今日の日没までだからな」
エリスはその場で踵を返すと、外へと出た。沙織とパンドラもその後に続く。
太陽は既にかなりの高さにまで昇っていた。