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聖域のとある社殿はでは、アテナを助ける為に冥府まで駆け降りた五人の少年が、今静かに眠っている。 星華は椅子に座って、弟の手を握っていた。 (星矢……。お願い、起きて……。神様、星矢を連れて行かないで下さい) もう何度目とも判らない、祈りの言葉。彼女は涙が零れるのを押さえられなかった。 「やだっ」 弟に泣き顔を見られたくなくて、彼女は急いで部屋の外へ出る。 (あらっ??) 廊下に出てみると、一人の女性聖闘士が別の部屋の前に立っていた。 (誰かしら……) 女性聖闘士は顔にマスクをしているので直ぐに判るのだが、彼女は星華の知っている魔鈴やシャイナではなかった。 向こうも星華の事に気がついた。 しかし、その女性聖闘士はそのまま立ち去ろうとする。 「ジュネ!」 背後でいきなり魔鈴の声がしたので、彼女はビックリして魔鈴と知らない女性聖闘士を交互に見た。 「お久しぶりです。魔鈴さん」 ジュネと呼ばれた女性は、魔鈴に挨拶をする。 「今まで何処にいた。招集が無かったとは言わせないよ」 「……失礼します」 彼女はそのまま魔鈴の横を通りすぎた。 「ジュネ!」 しかし、魔鈴もジュネを追いかけたりはしなかった。 (招集にも応じず、いったい何をやっていたんだ……) 魔鈴はようやく星華の存在に気がついた。 「星華ちゃん。ジュネはここで何をしていた?」 「私が部屋から出てきた時は、ここに立っていました」 星華が教える場所の部屋を魔鈴は開けた。 そこには瞬が眠っている。 「如何なさいましたか?」 彼に付き添っている神官が、椅子から立ち上がる。 「ここにジュネが来なかったか?」 「いいえ、どなたも見えていません」 神官が嘘をつく必要はない。魔鈴は邪魔して悪かったと言うと、部屋を出た。 (あいつ、アンドロメダの顔も見ないつもりなのか……) ジュネの行動が魔鈴には判らなかった。 |
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