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癒えぬ傷 6

「あの女が……、琴座の聖闘士の恋人……」
別室ではカノンが三巨頭たちからヘカテの側近の正体を聞かされていた。
カノンがエウリュディケーについて知っている事は、『花に囲まれていた女』の一言に尽きる。
そして琴座の聖闘士がペガサスとアンドロメダに協力を申し出た事を教えてくれた者でしかない。彼女もまた、それ以上の事を彼に告げたりはしなかった。
だが、冥闘士である彼らはエウリュディケーがオルフェの恋人だった事を知っている。
「しかもこっちは負い目がある」
オルフェを冥界に留まらせる為に、酷い手段でユリティースを捕らえ続けたのである。
アイアコスが頬杖をついて溜息をついた。
だが、カノンは別な事を考えていた。
(まさか……)
自分を追いかけて、恋人が冥界へやって来たという経験を持つ女。
カノンは知らぬ事とは言え、エウリュディケーにテティスの行方を尋ねたのは失敗だったと思った。
(こっちの思惑に気付いて、嘘を言ったのでは……)
だが、既に女神たちの試練は始まっている。
迂闊に動けばアテナの方にとばっちりが行く事は容易に想像がついた。