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(いよいよ、今日でみんなの運命が決まるのね) 沙織は色々と考えた結果、白羊宮の入り口でエウリュディケーの来訪を待つ事にした。 あの反則技を持つエリスですら、いきなり神殿には来なかったのである。 使者である彼女に十二宮の階段を昇るという手間をとらせたくはなかった。 既に試練に参加する為の準備は出来ている。 「アテナ、中で待っていたら如何ですか?」 ムウが話しかける。 「大丈夫よ。それに中じゃ、イライラして結局歩き回っちゃうわ」 でも、正直なところ自分が待っているのはエウリュディケーなのか、それともサガなのかが判らない。 (試練を成し遂げてサガをこの世界に繋ぎ止めないと、きっと何も判らなくなってしまう……) 沙織は自分の両手を見た。 いつもは勝利(ニケ)がその手の中にいた。だが今の自分は、何一つ確かなものを掴んでいない。 「アテナ、来られたようですよ」 ムウの言葉に沙織は前を向く。 十二宮前の広場に、光が舞い降りて人の形を作る。 そしてそれは懲罰の鎧をまとったエウリュディケーとなった。 「女神アテナ。ヘカテ様からの伝言を伝えに参りました」 沙織は彼女に近づいた。 「準備は出来ているから、何でも言って頂戴!」 沙織は懲罰の鎧がオルクスで見た時よりも赤い気がした。 沙織たちから少し離れた場所にいたソレントも、彼女の鎧の色に疑問を持つ。 (エウリュディケーさん、何かやったのかな……) それは確実にこちらに有利な事に違いないが、それが何なのか判らない。 きっと聞いても彼女は言わないだろう。 「では、これから日没までの間にヘカテ様の神殿へいらっしゃって下さい」 「ヘカテ様の神殿ね。それは何処なの?」 するとエウリュディケーは首を横に振った。 「それは申し上げられません。既に試練は始まっています」 沙織は彼女の鎧を見て、それ以上の詮索はしない事にした。 「それでは、ヘカテ様の神殿でお待ちしております」 エウリュディケーは一礼すると、再び光となって姿を消した。 |
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