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先手 2

(何故なの。答えなさい。
許さない…… 絶対に許さない!
みんな滅びるがいいわ)

夜明け前の薄暗い中で、カノンは目を覚ました。いつの間にか眠ってしまったらしい。
彼は目覚める直前、テティスの叫びを聞いたような気がした。
見知らぬ少女を抱いて泣く彼女の姿。
「いったい誰なんだ」
明らかに自分の実体験でない事は判る。
だが、はっきりと同じような場面を見ていると、それがただの夢ではないような気がする。
彼はテーブルの上に置かれたシードラゴンの鱗衣をじっと見た。
「お前は何か知っているのか?」
初めて彼は自分の鱗衣に呼びかけてみた。