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その日、ジュリアンは星の子学園の方を見ている一人の男性を見かけた。 (?) 何処かで見た事のある男性に、ジュリアンはしばらくその場で考え込んだ。 (何処だろう?) 腕を組んで考えてみても、思い出せない。 (グループ企業が派遣した護衛?) すると誰かが自分の服の裾を掴んだ。 「お兄ちゃん。あの人、お兄ちゃんの友達?」 学園で預かっている少女であった。 「違うと思います」 そう言いながら、彼は昨夜見た夢を思い出した。 (他人の空似かもしれない) 近くに寄って確かめてみたい衝動に駆られる。 (あの双子の青年に似ている気がするが……) 「どうしたのですか?」 考え込んでいるジュリアンに絵梨衣が話しかけた。 「……エリイさんは夢であった人に、実際に会った事がありますか?」 「はぁ?」 ジュリアンが青年から目を逸らし、絵梨衣が青年の方を見た瞬間、異変が起こった。 二人の視界にある風景が奇妙に歪んだのである。 「あれっ??」 傍にいた少女が、二人の姿を探す。 「お兄ちゃん〜、絵梨衣お姉ちゃん〜」 急にいなくなった二人の姿を求めて、少女は泣きはじめた。 「どうしたの!」 泣き声を聞きつけて、美穂が慌てて少女のもとへ駆け寄る。 「お兄ちゃんと絵梨衣お姉ちゃんが消えちゃった〜」 美穂は周囲を見回したが、人の姿はない。 「消えたって?かくれんぼしているの?」 「違うの。ぱっといなくなっちゃったの〜」 「??」 どうとって良いのか判らないが、ジュリアンの友人が行方不明である以上、もしかすると誰かに連れ去られたのではないか。 (まさか!) 美穂は少女を抱き上げると教会へ走った。 |
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