☆ |
|
| ☆ |
試練の中休みである二日目がもうすぐ終わろうとしていた。 沙織は明日行われるであろう試練の為に、早く身体を休めようと思ったが、気が高ぶってなかなか寝つけない。 (彼女たちはいったい何処へいったのかしら……) 一人は海闘士のテティスだと判ったが、もう一人は依然不明。しかも今は二人とも行方不明。 何処から手をつけていいのかすら判らない。 (サガ……) 彼の謎に満ちた行動が、何によるものなのかも判らない。 女海闘士のテティスを攻撃し、それを止めようとしたアイオロスと部屋にいたアルデバランや五人の海闘士までも巻き込んだ。 サガの中にある邪悪の仕業だとしても、何故それは聖戦の時には出なかったのだろうか? (私への殺意は、あのときは無かった……) それどころか驚き涙を流していたサガが、今自分に敵対している。 (分からない事だらけだわ……。エリスも何処かへ行っちゃったし) 神話の時代から決して仲が良かった訳ではないが、冥界の試練の時からエリスへの印象がかなり変わった。 (そうだったわね、エリスは……ですもの) そう考えた途端、沙織は勢いよく起き上がった。 「私、今何を考えたの?」 記憶の中に何かが抜け落ちている気がした。 「私、エリスを……」 何かを思い出しそうで思い出せないもどかしさに、沙織は頭を抱えた。 そして段々と気分が悪くなってきたのである。 頭も痛みだした。 (確か、エリスがディオスクーロイと言った時も今のような状態になったわ) あの時もどうして自分がそうなったのか分からず、むしろ考えないようにしていた。 しかし、こうなっては無視出来ない問題である。 沙織は記憶に覆いかぶさる霧を晴らそうと、集中して思い出そうとしたが、頭の痛みがますます酷くなる。 「いったいどういう事なの……」 沙織はシーツを握りしめた。 (誰か!) 沙織は声にならない悲鳴をあげて、そのまま気を失った。 |
|
|