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「黄金聖闘士さまにセイレーンさま。お待ちしておりました」 エウリュディケーが慌てた表情でやってきた。 「先程冥界の神殿へ行ったら、二人の黄金聖闘士さまと五人の海闘士さまの魂がいらっしゃったので、驚きました」 (それは驚くだろう) あのような騒ぎを誰が予測出来ただろうか。 「すまないが、地上でトラブルがあって、その七人と二人の少女が行方不明になったのだ。 もし居たら返してもらいたい」 カノンの言葉に、エウリュディケーは困ったような顔をする。 「それが黄金聖闘士さま。申し訳ありませんが、こちらとしては闘士の皆さんを今のようにしたのはヘカテさまのご好意なのです。 明日の女神さまたちの試練が終われば、全員蘇生されます。 それまでお待ちいただけないでしょうか?」 「いいだろう。アテナにもそう伝えておく。それで二人の少女たちはどうだ?」 闘士たちについては予測の出来た回答だったが、少女たちのほうは深刻な問題だった。 「知ってどうなさるのですか?」 「それは知らない方がいい。二人が冥界へ降りたかどうか、教えてほしい」 その返事で、彼女には全てが分かった。 自分の返事次第では、この黄金聖闘士は冥界へ降りるつもりなのだと……。 「……冥界の神殿の者に聞きましたところ、彼らの魂と一緒に来た者はいなかったそうです」 「そうか……」 カノンはそれ以上追求しなかった。ソレントは彼女の返答に、一抹の不安を感じる。 しかし、二人とも、この場は引くしかなかった。 「邪魔をした」 カノンは踵を返すと、そのまま神殿から離れる。 ソレントはエウリュディケーに一礼をすると彼の後を追う。 彼女は二人が見えなくなるまで、その後ろ姿を見送った。 |
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