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崩壊 2

(まさか!)
無人の金牛宮を駆け抜けたところで、カノンは『強烈な殺意』を感じた。
誰のかは一瞬で分かった。
(これがサガの中に潜む邪悪か!)
こうなると海辺の神殿へ行く前に、こっちを片づけないとならない。
(あいつらが、テティスを連れ出してくれて助かった)
カノンはアルデバランに神殿にいて欲しいという連絡をすると、双児宮へ急いで引き返したのであった。

「これはいったい……」
神殿で沙織は妖気を感じた。
その直後、シュラとカミュが駆け込んでくる。
「アテナ、ご無事でしたか!」
「いったい何が起こったのですか!」
沙織の問いに答えたのは、後からやってきたアフロディーテだった。
「これはサガの黒い意識です」
「サガの……」
「やはりアレとは対決しなければならないようです」
沙織は唇を噛んだ。

ところがカノンが双児宮に着いた頃、サガの姿は何処にもなかった。
一足先に来ていたデスマスクもまた、彼を探している。
「積尸気冥界波を使ったんじゃないのか」
「あれがそれ位でくたばる男か!」
人の兄を捕まえて暴言極まりなしだが、カノンは妙に納得していた。
「もう一つの人格が出ると、サガは化け物染みた奴になる。あいつは何を飼っているんだ」
そう聞かれてもカノンが知る訳がない。ただ、デスマスクの言い分は的を射ていると思った。
サガの中には何かとんでもないモノがいるのを、彼は幼い頃から気付いていた。
そしてそれは自分の前では絶対に現れない。
「何があったんだ!」
ミロとアイオリアが駆けつけた。