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崩壊 1

「あいつらが来ただと!何で連れて行く事を俺に黙っていた」
双児宮の一室で仮眠を取っていたカノンは、アイザックからの小宇宙による連絡で飛び起きた。
「どうしたんだ。カノン」
「海辺の神殿に、あいつらが来ていたんだ。ちょっと行ってくる」
カノンは慌てて海辺の神殿へ向かう。 サガは、そんな弟の後ろ姿を見る。
(まぁ、頑張れよ)
カノンは海闘士であり、双子座の黄金聖闘士。
ポセイドンは封じられている今、もしかすると自分の弟は、平和の象徴なのかもしれない。
それが自分の都合のよい解釈であっても、彼には嬉しいことだった。
『いきなり失った時間を取り戻そうとするな。これからいくらでも取り戻すのだろ』
昨夜のエリスの言葉は、多分あの場にいた聖闘士たちへの言葉なのかもしれない。
(だが、私は許されざる罪を犯した。ならば永遠に罰を受け続けよう)
その時、サガの耳元で声が聞こえた。
『今ならあの女を、一思いに処分出来る。アテナとあいつを海の呪縛から解き放つ……』
サガの中で、黒い闇が膨れ上がった。

そして、その禍々しい力は十二宮を駆け巡った。
黄金聖闘士たちの何人かは、それが何であるか知っている。
「あのバカ!押さえきれなくなったな!」
デスマスクは巨蟹宮を飛び出した。