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「余計な事をしおって」 エリスは不機嫌な顔をすると、神殿の階段を下りはじめた。 肩にはまだシュラとデスマスクのマントが掛かっている。 「すまんのぅ。やられっぱなしは、性に合わんのじゃ」 隣りを童虎が歩く。 「あいつらの事だ、きっと余計な事も言ったのだろう」 「何も言っとらんよ。 言ったとしても、ワシは聞いていない」 エリスは口の中で何かを呟くと、その場から消えた。童虎は別に驚きもせずに天秤宮へ向かう。 そして残されたメンバーには問題が残されていた。 ちなみにアフロディーテはワイングラスを置いてくると言ったきり戻ってこない。 「それで、夜通しワインを飲んでいたのか。」 これにはアイオロスの目が険しくなっている。 「いい気なものですね。さぞかし盛り上がったことでしょう。ディオニソス特製のワインなら」 ムウの目が据わっている。カノンに至っては、指を鳴らしていた。 「何言っているんだ。女が酒に付き合えと言っていたんだ。付き合うのが男ってものだろう」 「それなら私の説教にも付き合ってくださいね」 いきなり沙織の声がして、デスマスクは思いっきり驚いた。 彼女は先程カミュとアフロディーテから借りたマントを羽織っている。 そして、彼女は目を赤くしていた。まるで先程まで泣いていたかのように。 (また、秘密の出入り口を使われたな) 気配を殺して黄金聖闘士たちに近づくのだから、やはりアテナは偉大だった。 「アテナ、お目覚めになられたのですか……」 サガは万事窮すとばかりに天を仰ぐ。 「みんなが集まって騒いでいれば、嫌でも起きます」 そして沙織は俯く。 「その……彼らは?」 彼女はそれ以上の言葉を紡げなかった。 「アテナとこの聖域に、祝福の光が降り続きますように……。そう申していました」 サガの言葉に沙織は大粒の涙を零しはじめた。 「そうですか……。彼らがそんなことを……」 彼女は泣きながらも嬉しそうに微笑んだ。 そして、彼女はあることをサガに尋ねた。 「それでディオニソスのワインは美味しかったですか? 当然、私の為にも取っておいてくれたでしょう」 サガたちは一度もそんなことを考えていなかったので、思いっきりうろたえる。 「アテナ、貴女はまだ未成年です」 アイオロスが間髪入れずに、彼女をたしなめる。 「それに、そのセリフは私たちが言うべきものです」 (アイオロス、正直すぎる!) 他の黄金聖闘士たちは、思わずアイオロスから離れた。 「だって、ワインゼリーにしたら食べても良いでしょ!」 沙織は彼の説得を試みる。既に兄と妹の会話になっていた。 「お抱えのパティシエに頼んで、ワインを使ったケーキって手もあるわ!」 アイオロスは頭が痛くなってきた。 他の黄金聖闘士たちに至っては、聞かなかった振りをしている。 |
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