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「ところで蟹座と魚座。よく冥界という場所を熟知していたな」 エリスは夜空を見ている。 「何の話だ」 デスマスクとアフロディーテは女神の背中を睨み付けた。 「お前たち二人は見事だったと、言っているんだ」 しかし、この会話が見えない三人は、二人を睨む。 「何をやったんだ、お前たちは!」 そう言いながらサガはアフロディーテからワインを注がれている。 「別に、サガが気にする事じゃない」 彼は壷をカミュに渡す。 「エリス、いくら争いの女神だからって、酒の席で争い事を持ち込むなよ。 せっかくのワインが不味くなる」 しかし、他の三人が物凄い形相でデスマスクとアフロディーテを睨んでいた。 「白状しなければ、エクスカリバーを使わせて貰おう」 「氷漬けも良かろう」 「いや、異次元の狭間に叩き落とす」 三人の目が異様に光っている。 「お前たちだろう。冥界で倒された冥闘士たちをきっちりと葬ったのは」 デスマスクとアフロディーテはエリスをじっと見た。 「そうだ。 聖域で倒されても、冥闘士は冥界へ自動的に戻されていた。冥衣の性質かもしれない。 だからピラニアンローズで冥衣を破壊し、積尸気冥界波で冥界の入り口まで引き戻した」 アフロディーテはグラスのワインを飲み干す。 「自分のフィールドに戻った敵は何かしらの回復手段を持っているから、倒しっぱなしは嫌いなんだよ」 デスマスクはサガから壷を受け取る。 「いつの話だ」 サガの目つきがとても険しい。人格が変わるんじゃないかと思い、デスマスクはあっさりと喋った。 「あの眉毛男に冥界へ叩き落とされた時、頭に来て自分に積尸気冥界波をやったら蟹座の聖衣がやって来てくれた。あとはハーデスの呪縛で止めを刺されるまで、動き回った」 あまりの話の内容に、三人はグラスを落としそうになった。落とさなかったのはワインが入っていたからだと言う説もある。 「あの時は私も巻き込まれた。こいつと心中なんて、思い出すだけで気持ち悪くなる」 「でも、お陰で魚座の聖衣が来ただろう!」 意外というより常識外の事を平気でした発言に、聞かされたほうは堪らない。 「ちなみに聞くが、いつまで動けた?」 シュラの声のトーンがかなり低くなる。 「いつだ?嘆きの壁撃破には間に合ったのは覚えている」 デスマスクは既に思い出す気はなかった。 「遅刻しなかったんだから気にするな」 アフロディーテに至っては、答えが何か間違えている。 (こいつら……) 三人はもう少しでグラスを握り潰す所だった。しかし潰さなかったのは、ワインが……(以下略) この五人のグラスには常にワインが入っている。 「冥衣を失っているから、冥闘士たちは自分の存在に疑問を持っていた。 上手い方法だな。冥闘士たちはお前たちと違って、生粋の闘士はごく僅か。いきなり生への執着を見せた者もいる」 「もう良いだろう、つまんねぇ話は」 「そうだな、もうすぐ夜が明ける」 エリスは東の空をじっと見た。 |
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