[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
☆ |
|
| ☆ |
一方、部屋から出た沙織たちはゆっくりと階段を登っていた。 (この歩みでは夜が明けるぞ) サガは後ろにいて、苦悩していた。 「エリス。どうやって階段を使わずに神殿へ行ったの?」 沙織は正攻法で尋ねる。 「教えない」 当たり前のように彼女は答えた。 その表情は人を小馬鹿にした様で、沙織は頬を膨らませる。 「私の知らない抜け道を作ったのね!」 カマをかけてみると、エリスは驚いたような顔をした。 「何だ、気がついたのか。つまらんな。 せっかく聖域の創設時にこっそりと組み込んでいたから、バレないと思ったんだが……。 仕方ない、罠を仕掛けられる前に塞いでおくか」 沙織はサガの顔をちらりと見る。彼はますます苦悩を深めていた。 だが沙織の方は嬉しそうにエリスの腕を掴んだ。 「一回使ってみて!このままだと夜が明けちゃうわ」 可愛らしくお願いポーズを取るが、相手は意地悪な女神。やはり聞き入れたりはしない。 「神殿にたどり着かなくても、別に構わない。ここでも星は綺麗だからな」 確かに恐ろしいほどに空気の澄んだ夜空であった。 手を伸ばせば星が掴めそうな錯覚を感じる程、空が近い。 「神殿の方がもっと綺麗よ」 一度は体験してみたい沙織だった。 「アテナ、そのような怪しい事はお止めください。必要なら私が連れて行きます」 思い余ってサガが口を出すと、今度はいきなりエリスが折れたのである。 「双子座の健気さに免じて、一度だけ使ってやる」 「本当♪」 「ただし、使用料は高くつくぞ」 エリスは沙織やサガの返事を聞かずに、素早く右手を上げた。 |
|
|