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隠し事 3

「いいわ、そのくだらない話を聞きましょう」
沙織は椅子に座り直す。
「実はアテナのいない時代は、結構規律が緩くて黄金聖闘士たちでも妻帯者がいたんです」
オルフェウスは楽しそうだった。 これには沙織ではなくて黄金聖闘士たちの方が驚いた。
「我々聖闘士はアテナの為に存在するのではないのか!」
サガが愕然とする。
「もうこれは懺悔になりますね」
沙織は拍子抜けした。
「……それくらいで懺悔なんて言わないで欲しいわ」
「仕方ありません。我々はアテナの聖闘士なのですから。 アテナ以外に守るべき存在を得るのは厳しく禁じられています」
冥界での彼を知っているソレントが聞いたら、青筋を立てそうなセリフである。
しかし、沙織は興味津々の顔になる。
「それじゃぁ聞くけど、歴代の黄金聖闘士たちの恋愛事情はどうだったの?」
「そうですね。十二人揃っていなかったりして確実とは言いませんが、傾向はありますよ。
ただ、双子座と射手座は私たちの時代にもいなかったので、彼らは残念ながら除外となります」
サガ、カノン、アイオロスは安堵の表情をした。
「つまらないわね」
がっかりしている沙織を見て、黄金聖闘士たちは
(弱みでも握りたかったんですか!)
と、心の中で冷や汗をかいていた。
「さて、一番幸せな結婚をした者とか女癖が悪い者とか。何が聞きたいですか?」
逆に質問されて彼女は考え込んだが、同席しているムウと童虎は精神的な苦痛を感じていた。
「何か話が危険な方向に流れているぞ」
カノンは自分が無関係になったので、笑っている。 ムウは眉間を押さえた。
「恋愛事情なんて、一番縁のない世界ですからね」
「結構歴代の黄金聖闘士たちは、したたかだったんだなぁ」
アイオロスは妙なところに感動していた。
「アイオロス!お前は呑気過ぎるぞ」
サガの睨みにアイオロスは肩をすくめて笑った。
「では質問するわ。歴代の黄金聖闘士たちで一番結婚運が良かったのは何座?」
そして黄金聖闘士たちの精神的拷問は開始された。
だが、沙織は笑ったり驚いたりして楽しんだ。