☆ |
|
| ☆ |
そして怒濤のデスクィーン島探訪は、五人の青銅聖闘士と二人の少女の発見で幕を降ろす事になった。 「長い一日だったな……」 聖域に着いた時、アルデバランは思わずそう呟いた。全員、体力よりも精神的に疲労していた。 「みんな!ご苦労様!」 十二宮前の広場では沙織とシャイナ、そしてムウとアイザックが待っていた。 「只今、戻りました」 沙織に出迎えられてサガは少し面食らった。 「アテナ、もう身体は大丈夫なのですか?」 「少し休んだら、気分が良くなったわ。みんなに心配かけてごめんなさい。 それでこの方たちは誰?」 その横でアイザックがカノンの抱いている少女の顔を覗き込んだ。 「シードラゴン、セイレーン。誰がテティスをこんな目に!」 「それは分からない。 全てはアテナたちの試練が終わって、身体が元に戻ってからだ。 あいつらに会うのはそれまで我慢しろ」 カノンの言葉にアイザックは怒りを露にした。 「何でだ!」 「連絡をしたら最後、誰があいつらを止められる? 二日間だけの話だ。永遠に黙っていろと言っている訳じゃない」 アイザックは納得しかねると言いたげな顔をする。 「それに騒ぎを起こせば、我々よりエウリュディケーさんの方が責任を取らされかねません。女神ヘカテは自分の側近にすら、懲罰の鎧を着けさせる方です」 ソレントの駄目押しに沙織の方が慌てた。 「絶対に止めなさい」 沙織の剣幕に、アイザックは渋々頷いた。 サガは海闘士たちの様子を見て、自分の中に何かが確実に蠢いているのを感じ、抱えている少女の方に視線を移した。 少女が目を覚ます気配は感じられない。 その時彼は全員の視線が自分に向けられている事に気付いた。 「ア……アテナ、この方は一緒に閉じ込められていた少女です」 沙織はもう一人の少女の顔を覗き込んだ。 「このまま連れてきたという事は、このマスクは取れないという事ね」 沙織が謎の少女のマスクに触れる。するとマスクは淡く光った。 「…………」 少女の唇が動く。沙織は耳を寄せたが何を言っているのか分からない。 そしてマスクは元の色に戻り、沙織が再び触れても何の反応も示さなかった。 「女神エリスは聖域で預かって貰えと言っていましたが、如何いたしましょうか?」 アイオロスの言葉に沙織はしばらく考える。 「それじゃぁ、海辺にある神殿の方へ預かってもらいましょう。それなら後で海闘士たちが彼女に会うのに楽でしょ。 必要なら町にいる引退した巫女たちの力を借りて頂戴」 その言葉にソレントとアイザックは沙織に深々と頭を下げた。 「シャイナ、私の方は良いから神殿の方を神官たちに依頼してきて。 今日は彼女たちをこっちで保護するから、明日には移せるようにする事」 「分かりました」 シャイナは沙織に一礼すると、そのまま聖域の黄昏の中へ去っていった。 「ムウ、空いている部屋はない?」 いきなり聞かれてムウは戸惑った。 「今夜の白羊宮は亡霊聖闘士たちに話をさせる会場ですから、無理ですよ」 賭けに勝ったので、そういう場をわざわざ作ったらしい。 「アルデバランは?」 「喜んでお預かりいたします」 この時ソレントは、アルデバランの存在を心の底から神に感謝した。 |
|
|