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地上へ脱出してみると、デスクィーン島の空は燃えるような夕焼けだった。 パンドラはじっとその空を見ていた。 「ここの空は凄い迫力だな」 彼女は空に両手を伸ばす。 「ハインシュタイン城の夕日も綺麗だったが、ここは空が迫ってきそうだ」 そんな彼女の背後にエリスは現れた。 だが、空に感動している彼女は肩を叩かれるまで気がつかなかった。 「パンドラ、今日のピクニックはこれで終わりだ。ハインシュタイン城へ帰るぞ」 「あの少女達はどうするのだ?」 「一応、聖域で預かってもらう」 ソレントは驚く。 「テティスは我々の仲間です。海に連れて行っては駄目なのですか?」 「海は今、女神ヘカテの管轄。何も言わずに聖域に連れて行け。 どうせ双子座の連れてきた少女も只者ではあるまい。 それなら一括してアテナに任せておけば良い。 あそこなら人手はある」 パンドラはサガとカノンに近づくと、少女たちの手を握りしめた。 「また会おう」 すると不思議な事に二人の少女は、ほんの少し笑みを浮かべる。 しかし、直ぐに元に戻った。 「その二人を頼んだぞ」 エリスはサガにそう言うと、パンドラと三巨頭たちを連れて行った。 「俺たちも戻ろう」 カノンに言われてソレントは困った。 聖域に行くべきか、仲間たちにテティスの事を知らせるべきか。 「セイレーン、今はあいつらは女神ヘカテの客人。争い事を匂わせて、女神たちの試練に影響を与える訳にはいかない。しばらく待て」 ソレントは頷くしかなかった。 (この人はいったい何者なのだろうか……) 『本当に奇跡のような存在』 オルクスでの彼女の言葉が脳裏に蘇った。 (そして、エリスは何を知っているのだろう?) それを自分が知る日が来るのか。 (ジュリアン様の所へ、早く戻らねばならないと言うのに……) 意外としか言い様のない自分の考えに、彼は思わず苦笑した。 |
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