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一方、謎の扉の前では、全員がサガとカノンが出て来るのを待っていた。 「エリス、何故ディオスクーロイはフリーパスなのだ?」 パンドラの疑問は最もである。全員エリスの方を注目した。 「私も詳しいことは知らない。ただ、彼らは封印を解く。そう言われている」 その言葉にソレントは頭が痛くなった。 (だからポセイドン様の封印も解いたのか?) 納得し難い話である。 「エリスにも知らない事があるのだな」 するとエリスは楽しそうな笑みを浮かべた。 「パンドラは誤解している。 私は知らない事の方が多い。だから知る為に行動する。 例えそれが大勢の者たちを不幸にしようともだ」 「……」 「いずれはこの命で償う時も来よう。 だが、私は止まる気はない。 それが私の存在理由だからな」 そう言ったエリスの表情の凛々しさに、パンドラは彼女の強さを見たような気がした。 「しかし遅いな。あいつらは戻れないのか?」 争いの女神は不穏な事を言う。 「もしかすると出られなくて、イライラしているかもしれませんね」 ソレントの言葉にアイオロスは笑った。 「強引に扉をぶち破るかもしれないな。あの二人なら」 その発言に、全員思わず扉から離れる。 三巨頭たちにいたっては、パンドラを背中に回して守る。 そしてその直後、いきなり扉がもの凄い破壊音と共に前方に吹っ飛んだのであった。 「うわっ!」 扉はラダマンティスの横を通り抜ける。立ち位置がもう少しズレていたら、彼は扉と接触するところだった。 土煙が辺りに舞い上がり、扉の奥には一人づつ誰かを抱き上げているサガとカノンがいた。 「両手が塞がっていたから、蹴らせてもらった」 カノンの怒りに満ちた表情に、ドアの外にいた者たちはこっちが悪いのかと思いそうになる。 「カノン、どうしたんだ?」 美しい金色の髪をした少女だろうというのは分かるが、顔は鼻と口元以外金色のマスクで覆われていて、その両腕、両足は重そうな装飾品が付けられている。 ソレントはその少女が誰なのか、直ぐに判った。 「テティス!」 彼の表情が凍りつく。 「どう見ても、隠れていたようには見えないが……」 アイオロスは嫌な予感がした。カノンは少女をきつく抱きしめる。 「隠し部屋の中に閉じ込められていた」 サガが説明をする。 「それじゃぁ、監禁じゃないですか!」 ソレントが叫んだ。 サガもまた同じような格好をさせられている少女を抱いていた。 彼女も美しい金色の髪をしている。 「どうやら、何処かの誰かはその二人の少女を閉じ込めておきたかったのだろう」 エリスは少女たちの顔を覗き込んだ。 「間違いなく知り合いか?」 疑わしそうにカノンの事を見る。 「それは間違いない。彼女はテティスだ」 カノンは辛そうな眼差しで、自分が抱えている少女の事を見た。 サガも少女に視線を向ける。 「……」 エリスは考える。 その時、足元の大地が一度大きく揺れた。壁に無数の亀裂が走る。 「とにかく脱出することが先だ!」 天井から次々と小石が落ちてくる。 闘士たちは次々と脱出。 「パンドラ様、お掴まり下さい」 そう言いながらラダマンティスは彼女の腰に素早く手を回し抱き上げると、その場から姿を消す。 他の二人もその後を追った。 エリスは壊れた扉を見て、面白そうに笑う。 「散々私を利用したんだ、今度は利用させてもらう」 そして彼女もまた姿を消し、その直後、その場所に巨大な岩が落ちたのだった。 |
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