☆ |
|
| ☆ |
『あの方の罪は、私がこの身をもって償おう』 サガはその声に驚き、目を覚ました。 「ここは……」 辺りを見回すとそこは、扉と同じような幾何学模様で埋めつくされた円形の部屋。 壁には青白い明かりが幾つも灯っている。 「おい、カノン」 自分の隣で倒れている弟を揺り動かす。 するとカノンは何かに驚いたようにいきなり上体を起こした。 「どうしたんだ、カノン」 「あっ……夢か」 「夢?」 カノンは立ち上がると大きく背伸びをする。 「見知らぬ少女を抱いて、泣いているテティスがいた」 「テティス?」 「海闘士の一人だ。七将軍のメンバーでは無いから、今はいない……」 カノンは言いたくない事を言ってしまった気がした。 「その場面に覚えがあるのか?」 「無い」 彼はきっぱりと答える。 「テティスも鱗衣を着てはいなかったし、何より夢の中のテティスは二十代くらいだった。 今のあいつは十五才だ」 彼はズカズカと部屋の奥へと歩く。サガも周囲を見回すが、壁しかない。 しかし、カノンはある部分の壁の前では、鱗衣が細かく震える事に気付いた。 「ここが怪しいなぁ」 だが、壁には細工されている様子はない。 彼はしばらく壁の前で考え込んだ。 ちょうどその時サガが中心を挟んで反対の壁を調べていると、いきなりカノン側の壁から何かが出てきた。 |
|
|