十二宮前の広場に連れてきてもらった星華は、真っ先に弟の姿を見つけた。 「星矢!」
ムウは彼女が顔を見れるように、その場にしゃがんだ。 「星矢……」 「星華さん。彼は今身体を回復させる為に、わざと眠ってもらっています。
会話をさせてあげられなくて、すみません」 思いっきり嘘をついているが、その場にいた黄金聖闘士たちは訂正しなかった。 「紫龍!」
デスマスクが紫龍を担いで、十二宮から下りてくる。 童虎は近づくとその顔を覗き込んだ。 「とにかく、下の社殿へ連れて行く。ここは動けない奴が無事でいられる場所じゃない」
デスマスクの言葉に童虎は頷いた。 彼は紫龍をデスマスクに預けることにする。いくら弟子が心配でも、その為にここを離れることは出来ないからだ。
そして彼は処女宮にいるシャカにデスクィーン島へ行くよう頼んだ。瞬時に処女宮から光が飛ぶ。 (よもや黄金聖闘士たちを総動員する破目になるとは……)
童虎は深い溜息をついた。 「老師、私も星矢を連れて行きます」 そして星華と魔鈴はムウの後を追って、その場を離れた。
アイオリアは彼らの一連の行動を離れたところから見守る。 「アイオリア、お前は随分余裕じゃねぇか」 何やら暗いオーラを立ち上らせたミロに、肩を叩かれてアイオリア驚いた。
「余裕って、そんなんじゃないが……。ミロの方こそ、何かあったのか?」 「何も言いたくない」 ミロは楽しそうにジャガーと話をしている魔矢の事を思いっきり睨み付けた。
そして聖域が一応の落ち着きを取り戻したと思っていたら、今度はシャカが気を失っている沙織を連れて帰ったのである。 全員、今まで以上に騒ぎ動揺した。
「何が起こったんだ!」 「突然倒れられた。一応神殿へ連れて行く」 「しかし、神殿には女手が無いぞ」 「何で女官を置かないんだ!」
しかし、童虎が一喝してその場を収めた。 「ミロは急いで魔鈴かシャイナを連れてくるんじゃ。とにかくシャカはアテナを神殿へ連れて行け」 「分かりました!」
その話を聞いていたジャガーがアイオリアに話しかける。 |