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その頃、アイオリアはオリオン座のジャガーと共に聖闘士たちの墓場へ来ていた。 「すまないな。我が侭を言って……」 ハーデスとの戦いの時、この墓場には火がかけられて、ほとんど無に帰していた。 「いや、逃げないでいてくれたら構わない」 「もう、十分聖域を見て回った。満足だ」 ジャガーは感慨深げな言葉を呟いた。 その時背後で女性の声が聞こえてきた。 「そこにいるのはアイオリアか?」 鷲座の魔鈴が星華を連れてやって来たのである。 「二人ともどうしたんだ!」 驚くアイオリア。 「どうもこうも、朝から聖域は騒がしいから危ないと思ってここへ来たんだ」 その騒ぎの片棒を担いでいるアイオリアとジャガーは、苦笑した。 「でも、何も聖闘士の墓場に来ることはないだろう」 一般人が来る場所ではないが、何よりもこの惨状は気持ちのいいものではない。 「私が魔鈴さんに頼んだんです」 星華はその手に一輪の花を持っていた。 「この地に眠る聖闘士の方たちに、弟を連れて行かないでって頼みたくって……」 彼女はそう言って焼けた大地に花を置いた。 「獅子座、彼女の弟も聖闘士なのか?」 「そうだ。ペガサスの星矢という……」 その言葉にジャガーはびっくりしたような顔をした後、笑いだした。 「ジャガー、失礼だぞ!」 アイオリアは不愉快そうに眉を顰める。 「すまない……、あいつの姉か。 大丈夫だ、あいつはそう簡単にくたばったりしない」 びっくりしている星華にジャガーは手を振った。 「あいつならどんな敵もなぎ倒して、あんたのところへ戻る。一度闘ったことのある俺が言うんだ。信じてくれ」 「……ジャガー……」 これにはアイオリアと魔鈴の方が興味を持った。 「星矢とあんたは闘った事があるのかい?」 魔鈴が尋ねる。 「一度な」 その時、ジャガーが空を見上げた。 「ペガサスの姉さん、どうやら聖闘士たちはあんたの願いを聞き届けたらしい。 ペガサスが戻ってきた」 星華の目から涙が零れた。 |
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