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女神の聖域 4

その頃、アイオリアはオリオン座のジャガーと共に聖闘士たちの墓場へ来ていた。
「すまないな。我が侭を言って……」
ハーデスとの戦いの時、この墓場には火がかけられて、ほとんど無に帰していた。
「いや、逃げないでいてくれたら構わない」
「もう、十分聖域を見て回った。満足だ」
ジャガーは感慨深げな言葉を呟いた。
その時背後で女性の声が聞こえてきた。
「そこにいるのはアイオリアか?」
鷲座の魔鈴が星華を連れてやって来たのである。
「二人ともどうしたんだ!」
驚くアイオリア。
「どうもこうも、朝から聖域は騒がしいから危ないと思ってここへ来たんだ」
その騒ぎの片棒を担いでいるアイオリアとジャガーは、苦笑した。
「でも、何も聖闘士の墓場に来ることはないだろう」
一般人が来る場所ではないが、何よりもこの惨状は気持ちのいいものではない。
「私が魔鈴さんに頼んだんです」
星華はその手に一輪の花を持っていた。
「この地に眠る聖闘士の方たちに、弟を連れて行かないでって頼みたくって……」
彼女はそう言って焼けた大地に花を置いた。
「獅子座、彼女の弟も聖闘士なのか?」
「そうだ。ペガサスの星矢という……」
その言葉にジャガーはびっくりしたような顔をした後、笑いだした。
「ジャガー、失礼だぞ!」
アイオリアは不愉快そうに眉を顰める。
「すまない……、あいつの姉か。 大丈夫だ、あいつはそう簡単にくたばったりしない」
びっくりしている星華にジャガーは手を振った。
「あいつならどんな敵もなぎ倒して、あんたのところへ戻る。一度闘ったことのある俺が言うんだ。信じてくれ」
「……ジャガー……」
これにはアイオリアと魔鈴の方が興味を持った。
「星矢とあんたは闘った事があるのかい?」
魔鈴が尋ねる。
「一度な」
その時、ジャガーが空を見上げた。
「ペガサスの姉さん、どうやら聖闘士たちはあんたの願いを聞き届けたらしい。
ペガサスが戻ってきた」
星華の目から涙が零れた。