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その日の聖域は朝から大騒動だった。 いきなり五人の黄金聖闘士たちが謎の聖闘士を捕らえる為に、聖域を縦横無尽に駆け巡ったのである。 その謎の聖闘士とは亡霊聖闘士たちなのだが、今回の捕獲作戦は彼らにとって思ったより大変だった。何しろアテナから『怪我をするな』と言われているし、体力の消費が思ったより多い。 仮初めの身体が自分の心の反応に付いていけないのだ。 そして相手が普通ではなかった。黄金聖闘士たちには少々やりにくいさを感じていた。 「何なんだ、奴は!」 蠍座のミロは先程相手に逃げられていて、激昂していた。 勝負は相手を日の入りまでに捕まえれば勝ち。 「矢座の魔矢……。只者じゃないな」 その時、彼は何者かの視線を感じた。 (誰だ!) 振り向いた時、彼の目の前には蛇遣い座のシャイナがいた。 「ミロ、いったいこれは何の騒ぎだ?それにあんたが賊を取り逃がすなんて……」 それを聞いてミロは気を失いたくなった。 その頃アイオリアはオリオン座のジャガーを追っていた。 カミュは南十字星座のクライスト、シュラは楯座のヤン、アフロディーテは琴座のオルフェウス。 だが、全員捕まえたと思うと相手に逃げられている。 逃げられた原因は只一つ、十二宮から牡牛座と射手座の聖衣が飛び出したのを見てしまったからである。そして三つの光も……。 アテナに何かあったと思い、意識をそらした瞬間に逃げられたのだ。 「黄金聖闘士の誇りにかけて、速攻で捕まえる」 彼らは既にこの身が果てようともと言わんばかりの決意に燃えていた。 |
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