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「こっちです」 分岐点でソレントの指し示す方向に糸が見えない時はミーノスは黙って進むが、あったりした場合は注意するというのを延々繰り返していくうちに、外壁が石造りから洞窟へと変化しはじめた。 どうやら一行は目的の場所への絞り込みに成功しつつあった。 「でも、本当にここは迷宮ですね」 何度広場へ戻ったか分からないくらい、彼らは無駄はしてはいなかったが迷ってはいた。 (本当に迷宮なら、アレが出ても奇怪しくないんだが……) ミーノスは注意深く周囲を見渡す。 (只の偶然なら良いが……) そして彼らの目の前に淡い光が見えてきた。 「おい、何かあるぞ!」 彼らの目の前に、大きな扉が現れた。 「露骨に仕掛けをしていると言わんばかりの扉ですね」 そこには多くの貴石が埋め込まれて、幾何学的な模様が書かれていた。 「壊すしかあるまい」 「カノン待て!こんな狭いところで破壊活動をしたら、アテナが怪我をする!」 サガは慌てて止めた。 「そんなことより、中に問題の女神がいたら怪我をさせてしまうわ」 沙織も急いで止める。 ところがエリスはその行動自体を、眉間に皺を寄せて見ていた。 「何をバカやっている。お前たちはフリーパスだろうが」 そう言うとサガとカノンの腕を掴んで、扉へ押し込んだのである。 二人はそのまま扉へと吸い込まれていった。 「サガ!カノン!」 沙織は慌てて扉に触れたが、扉は何の反応も示さない。 「どういう事だ」 他の者たちは騒めいた。 「どうもこうも、双子座の聖衣をまとっていてディオスクーロイで無かったら、何だと言うのだ」 争いの女神は呆れた顔をする。 「ディオスクーロイ……」 アイオロスは呆然とした表情で呟いた。 「ディオスクーロイ?」 沙織はその言葉を呟いた時、何かを思い出しそうになった。 「アイオロス、なんだそれは」 アルデバランが尋ねる。 「双子座の別名だ。ゼウスの息子たちという意味を持つ」 アイオロスの説明に沙織は真っ青になった。 (ディオスクーロイ……。大神ゼウスの……) 頭の中で何かが光る。そして沙織はその場に倒れた。 「アテナ!」 エリスは平然として、沙織のことを見下ろす。 「シャカ!アテナを聖域へ連れて行くんだ」 「承知した」 シャカは沙織を軽々と抱き上げると、その場から光となって消えた。 「大丈夫なのか?アテナは……」 パンドラはアイオロスに尋ねる。 「多分、疲れが出たのだと思われます」 そう言っているアイオロスもまた、青ざめた顔をしていた。 |
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