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探検 4

散々言い合った所為か、沙織はすっきりした顔でカノンに近づく。
「その糸をどうするの?」
「アリアドネの糸ですよ」
ミーノスが代わりに答えた。
「迷宮を迷わないようにする為に、糸を目印に通路を歩くのです」
ミーノスは武器として使っている糸を取り出す。
「ラダマンティス、この端を持ってください」
彼は言われたまま糸の端を持つ。
「では、行きましょう」
そう言ってミーノスが歩きだすのをラダマンティスが止めた。
「俺が留守番か!」
「道中、カノンと喧嘩されては迷惑です」
納得のいかないラダマンティスはミーノスの事を睨み付けた。
「ミーノス。ラダマンティスを苛めるでない。喧嘩が始まったら、それはそれだ。
その時はラダマンティスとカノンを放り出せば良い。 海闘士はあと一人いる」
パンドラの意見は非常に合理的だった。
(どちらかだけ残したら、遺恨が残る)
他の闘士たちは、この華奢な少女の判断に頷いてしまった。
「三界の闘士が揃うと、色々大変だな」
エリスは面白そうに笑った。

しかし、根本的な解決になっていない。
故に妥協案としてエリスが自分の槍を出し、それに糸の端を括り付ける事になった。
先頭は糸を持つミーノスと海の気配を探す為にカノンとソレントが歩いていた。
「争いの女神にフォローさせるな!」
エリスは機嫌が悪いらしい。 全員苦笑してしまった。
「だって、エリスが一番用意が良いんだもの」
「何の為にその格好をしている」
これには沙織もぐうの音が出ない。
「……その服はアテナが用意したのか?」
パンドラは地上を守護する女神の格好が、奇妙に思えてならなかった。
「そうよ。グラード財団のスポーツ関係の研究所からもらってきたの」
「グラード財団とは?」
話の展開がどこか奇怪しくて、パンドラは首を傾げた。
「私の実家なの」
聖闘士たちは何も言わない。一番後ろを歩いていたサガは辛そうな顔をした。
それを感じたアイオロスが彼の横に並び肩を叩く。
「サガ、アテナはちゃんとお前の辛さを知っている。あまり自分を責めるな」
「しかし……」
「それを言ったら、私も同罪だ」
悲しげに俯くアイオロスにサガは驚いた。
「同罪?」
「いつか話す。その時はお前に懺悔しよう」
アテナを命懸けで救った男のセリフとは思えず、サガはアイオロスの顔をじっと見た。
「わかった。いつか必ず話してくれ」
悲しげな友の言葉にアイオロスはその背中を軽く叩いた。
そして沙織とパンドラの方では、別の会話が続いていた。
「もし良かったら、パンドラにもこういう服を用意しておくわ。試練の時、どんな事を言われるか判らないから、こっちも準備くらいはしておきましょう♪」
「そうだな。それでは頼むとしよう」
「パンドラの黒髪はとても綺麗だから、髪飾りも用意させてね」
それを聞いて、パンドラの斜め後ろにいたラダマンティスが複雑な表情をした。