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INDEX

探検 2

「これは広場?」
地の底にたどり着いた沙織は、その場所の意外な姿に驚いた。
「らしいな。だが冥界の建築様式とは違う」
パンドラもまた興味深げに辺りを見回す。
彼女たちが降り立ったのは穴と同じ大きさの円形の広間で、その壁には青白い明かりと複数の通路があった。
「誰か来る」
シャカが通路の一つのほうを向く。 誰が来たのかは、姿を見せなくても直ぐに判明した。
聞き覚えのある声だったのである。
「またここだ!」
広間へ出てきた男はうんざりしていた口調だった。
「カノン!」
沙織は嬉しそうにその名を呼ぶと、カノンの方へ駆け寄った。
「アテナ……」
その後ろから出てきたサガが驚きの表情をする。
「サガも無事なのね」
沙織は二人の腕を掴むと、妹が兄に甘えるように間に入って二人の顔を見た。
「どうしてここに……」
「どうしてって、二人が穴に落ちたから心配で見に来たのよ」
するとサガは後ろにいたアイオロスに向かって叫んだ。
「アイオロス!何故アテナをこのような危ない場所に連れてきた。早く聖域にお連れしろ」
しかし、アイオロスは嬉しそうに笑うだけだった。 カノンは別の人物に目を止めた。
「アテナ、何で冥闘士たちがいるのですか?」
「助っ人に来てくれたのよ」
沙織自身が助っ人では無かったのかと思わない事も無い。心の中で冷静になれと念じる二人だった。
その時、カノンはある事を考えつく。
「すみませんがちょっと……」
彼は沙織から離れると、その人物へと駆け寄った。
「ミーノス!糸を出せ。糸を!」
いきなり言われてミーノスは面食らう。
「何ですか、いきなり!」
「失礼でも何でもいい。ここは迷宮になっていて、どうしてもこの広間へ出てしまう。とにかく目印が欲しいんだ」
エリスはそっとパンドラに耳打ちする。
彼女は疑いの眼差しを向ける。
「大丈夫だ」
エリスの強引な説得に、パンドラは仕方なく言われた通りにした。