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アイオロスはカノンとサガが落ちた巨大な穴の傍で、星矢を見つけた。 (酷い傷だ……) 彼の腹部にはハーデスに刺された剣の痕があり、大量の血が固まっていた。 「ペガサス……すまない……」 アイオロスは星矢を触って驚いた。 身体がまだ温かいのである。 しかし、それでは逆に何故この状態で命があるのかが判らない。 (もしかしたら助かるかもしれない……) 彼は星矢を抱き上げる。 その時、彼の脳裏にとある思いが浮かんだ。 (女神エリスなら……) 冷たい笑みを浮かべる争いの女神。 彼は意を決して聖域ではなく、沙織の元へ戻った。 (サガ、カノン……) 小宇宙で呼びかけたが、返事は無かった。 アイオロスが星矢を連れてきたのと、エリスたちが一輝を連れてきたのは、ほぼ同時だった。 沙織は星矢の腹部の傷を見て、真っ青になる。 「神の剣で付けられた傷は、人間の手では治せない。 今、治してやるからペガサスを下ろせ」 この言葉にアイオロスは自分の判断が当たった事を知ったが、それを喜んだりせず、むしろ辛そうな表情で星矢の事を見た。 「治せるの?」 沙織は争いの女神の腕を掴む。 「黄金のリンゴを使う。これは貸しだ」 沙織は素直に頷いた。 だが、今までの事を総括すると貸しの数はかなりある気がする。 (一括返済させてくれるといいけど……) 争いの女神相手に、危険な事を考えてしまう沙織だった。 そしてアイオロスに星矢を地面に下ろさせると、エリスはその右手に輝くリンゴを出す。 それは光を放って星矢の身体に入り込み、その傷を癒した。 「もしかして、私もこの方法で傷を治して下さったのですか?」 ソレントの言葉にエリスは、不機嫌な顔になった。 「怪我をしたままでは使い物にならないだろう」 既に彼は女神の憎まれ口を気にしたりはしない。 (自分の責任はちゃんと負うんだ……) しかし、傍迷惑な女神には変わりなかった。 |
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