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女王の島 4

しばらくして、沙織とアルデバランを閉じ込めていた壁がその力を失ったのか、中から周囲の風景が見えるようになた。
その時彼女の視野に、いる筈のない女性の姿が見えた。
「パンドラ!」
白い壁がすっかり消えると、彼女はアルデバランの肩から下ろしてもらい、パンドラのもとへ駆け寄る。
彼女の左斜めには目つきの鋭い男が立っていた。
「どうしてここにいるの!」
「エリスが、アテナの一大事だと言うから、慌ててきた」
パンドラの服装は細いストライプのスーツと、腰には黒い短剣を入れているホルダーという奇妙なものだった。
「アテナと黄金聖闘士を閉じ込めていたのは、死んだ人間の気だ。冥闘士たちは元々そういう存在を制御する能力を持つ。
今、ラダマンティスに除去させた。 ミーノスとアイアコスはエリスと一緒に元凶を見つけに行っている。」
「あ……ありがとう!」
沙織はパンドラの手を強く握った。
「でも、どうしてエリスが一緒なの?」
「不意に海闘士たちに遇って、戦闘状態にならないように説明係になってくれるらしい。 海闘士たちは冥闘士たちを見た事がないだろう」
しかも、神代の頃より出会えば臨戦状態になっても不思議でない関係。パンドラ自身も第一の試練に参加していなければ、海闘士に協力しようとは思わない。
だが今は、闘士たちには宿命的な繋がりがある事が理解できる。
『仲良くなれたら、絶対に素敵よね』
沙織の脳裏に声が響く。 彼女は辛そうに顔を歪めた。
「どうした?アテナ」
「何でもないわ。大丈夫」
慌てて笑顔を見せた時、アルデバランが背後で驚きの声を上げた。
「どうしたの!」
沙織は驚いて振り返った。
「アテナ、アイオロスからの連絡でアンドロメダが見つかったそうです」
「えぇっ!」
これには沙織だけでなくパンドラとラダマンティスもまた驚いた。

「これはいったい何なんだ?」
デスマスクはデスクィーン島にある火山の火口付近で、それを見つけた。
「人の気だよな……」
彼の足元の崖下には、白い雲のような妖気が蠢いていた。