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女王の島 2

そして、アルデバランの危惧通り。トラブルは発生した。
それもかなり大がかりな現象となって、彼らに襲いかかったのである。
一行が島を歩いていると、何処からが地鳴りが聞こえてきた。
「地震か?」
カノンは咄嗟に沙織を抱き上げる。
「うわっ!」
いきなり足元の大地が裂けたのである。 その割れ目から白い帯状の何かが現れる。
「とにかく散るんだ!」
アイオロスが叫んだ瞬間、彼の足元が割れた。
「!」
そして、金色の光が彼を包む。 アルデバランも同じように自分の聖衣を呼んでいた。
息つく暇のないくらい、白い何かはカノンと沙織を追いかけている。
自分を追っているのか。沙織を追っているのか。
他の闘士を見てみると、何故かアルデバランだけは悠々としている。
彼が歩くと、何故か大地が元に戻っているのである。
「アルデバラン!アテナを頼む」
カノンは急いで沙織を彼に渡す。 彼は頷いて沙織を肩に載せた。
牡牛座の聖衣が淡い光を放つ。
「いったい何が……」
沙織は目の前の光景に驚く。 その白いモノは確実に海闘士たちを追っており、その余波でアイオロスが攻撃されているように見える。
だが、それはいきなり沙織とアルデバランの周りを包みこんだ。
「アテナ!アルデバラン!」
全員が驚きの声を上げる。
「アテナはご無事だ。だが閉じ込められたらしい」
白い光の壁の中から、アルデバランの声が聞こえる。
「アルデバラン!とにかくアテナをお守りしろ。 そこから出す手だてを考える」
アイオロスが壁に触れようとすると、その手に強力な衝撃が走る。
「!」
だが、これが何なのか彼には見当がつかなかった。
(仕方ない。一筋縄ではいかないようだ)
アイオロスはエリスの様子を見る。彼女は平然としていた。
そして彼は決意し右手を上げた途端、荒れ狂う大地の上に三つの金色の光が舞い降りた。
「ムウ、サガ、デスマスク!海闘士たちをサポートしてくれ! 俺は元凶を探す」
すると周囲の様子を見たデスマスクが
「この白いのは死んだ人間の気だ。なんとかの一念とばかりに、力が具現化されている。 そいつを排除すれば、終わるだろう」
と、あっさりと判断した。
「……デスマスク……」
「これは俺が適役だろう。見つけたらさっさと地獄に送ってくるから、カノンたちが先にくたばらないようにしてくれ」
彼はそう言ってその場を立ち去った。
「アイオロス。ここはデスマスクに任せよう」
親友の言葉に彼は頷くと、エリスの方を見た。
「私の方は心配するな。海闘士たちを頼むぞ」
しかし、彼らの不安はエリス自身から目を離す事だった。
(仕方ない……)
三人ともお互いに目を見合わせると、瞬時にそれぞれの海闘士の元へ行った。
サガはカノン。ムウはアイザック。アイオロスはソレント。
そして闘士たちの姿が見えなくなった頃、エリスもまた姿を消した。