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「お前が双子座か?」 エリスはサガの方を見る。 「そうだが……」 「なるほど、よく似ているな。明日また来る」 そう言って、エリスは海闘士たちを置いて階段を下りはじめた。 いつの間にか西に太陽が沈み、東の空には星が輝き始めていた。 「そういえば、随分早くここに来れたわね。どんな方法を使ったの?」 沙織の言葉に海闘士三人は首を捻った。 「それが白羊宮でエリスが何かを呟いた途端、金牛宮に来ていた。俺たち階段を使ったのは双魚宮からここまでの道のりだけだ」 その言葉に全員、信じられないような顔をした。 「何か私たちの知らない行き方を知っていたのでしょうか?」 「争いの女神がかぁ?危ねーなぁ」 ムウとデスマスクの言葉に、他の黄金聖闘士たちは一目散に自分の守護宮を目指した。 「三人はどうするの?」 沙織に言われてアイザックは溜息をついた。 「どうもこうも置いていかれたしなぁ」 「まったく、今日くらい自分たちの宮に泊めてあげようと言う気は無いのかしら」 沙織が腕を組んで文句を言っていると、三人の黄金聖闘士たちが再び神殿に現れた。 「カノン。今日は双児宮に来い」 そう言って彼は弟の腕を掴んで引っ張って行った。 「アイザック、色々と話したいことがある。宝瓶宮へ来ないか」 カミュは元弟子に話しかける。 「アテナの許可が降りたから、速攻で迎えに来たみたいですね」 ソレントに言われて沙織は楽しそうに笑った。 そして最後にやってきたのは牡牛座のアルデバランだった。 「セイレーン、もし良かったら金牛宮へ来ないか?」 一度対決をしたことのある人物に言われて、ソレントは呆然としてしまった。 「ですが、私は……」 「敵ながらあっぱれだった。それに今は敵同士ではない。どうしても気になるのならムウかアフロディーテにでも頼むが」 悪意の無い笑顔で言われて、ソレントは俯いた。 「どうした?」 「負けました……。貴方は私よりずっと大きい人だ」 体格の良いアルデバランはソレントの言葉に笑った。 「確かに身体は大きいな。さて、少しばかり遠いから急いでいこう」 そう言って彼はソレントの背中を軽く叩いた。 「さて、私も忙しくなるわ」 沙織はそう呟くと、楽しそうに双魚宮へ向かった。 その夜、小高い丘の上に五人の闘士が集まった。 「久しぶりの聖域だな」 ジャガーは懐かしそうに眼下に広がる聖域の町を見つめた。 「時代が流れているというのに、ここは変わらないな」 クライストが答える。 「いよいよ明日だ……」 五人は顔を見合わせて頷きあった。 そして彼らは闇に溶けるかのように、その気配を消した。 |
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