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「カノン、それは言い過ぎです」 いつの間にか外にいた沙織が、頬を膨らませてカノンのことを睨んでいる。 「アテナ!いつの間に外にいたのですか!」 「あら、神殿の奥には秘密の出口がありますから、貴方がたの目を盗んで外へ出るのは簡単です」 ロクでもない発言である。 「ところでエリス。何で地上にいられるの! まさか絵梨衣さんの身体を使っているんじゃないでしょうね」 沙織はエリスの腕を掴む。 「一度実体化が成功しているんだ。形くらい直ぐに取れる。 それに今回は母が力を貸してくれている。アテナにまた倒される理由は何一つない」 忌ま忌ましそうにエリスは沙織の手を振りほどいた。 彼女も理由を聞いて、あからさまにほっとした表情をする。 「それで、何かあったの?」 いきなりの態度の変わりようにエリスは拳を握ったが、それを使うことなく彼女は落ち着きを取り戻した。 「試練までは協力体制を崩したくないから、一応許可を貰おうと思って来た」 「何の?」 「デスクィーン島で捜し物をしたい。ただ、この三人の海闘士を連れて行くから、万が一向こうに聖闘士がいたら戦闘状態になっても見逃して欲しい」 奇妙な依頼に沙織は首を傾げた。 「デスクィーン島に何があるの?」 「あるかも知れないというだけだ」 しかし、エリスの表情はどこか楽しそうだった。 「私も行っちゃ駄目かしら?」 これには黄金聖闘士たちが引き止める為の説得を始めた。 エリスも面倒を嫌がって 「無駄骨に終わる可能性が高い。無理に疲れる事をする必要は無い」 と、冷たくあしらう。 しかし、沙織も負けてはいなかった。 「その無駄骨を嫌う貴女がデスクィーン島に行くというのなら、きっとそこには何かがある筈です。 もし、私を連れて行かなかったら、デスクィーン島への立ち入りは禁止しますよ」 女神同士の協力体制をぶち壊しかねないセリフを言って、沙織は無理やりエリスの助っ人を買って出た。 「それなら体力を削るわけにはいかないから、なるべく社交的な黄金聖闘士を連れて来い。 デスクィーン島で戦闘なんて御免だからな」 エリスもまた、争いの女神とは思えないセリフを言う。 しかし、社交的とは難しい条件である。沙織は首を捻った。 |
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